東大過去問 1975年 第1問(要約)

/ 12月 9, 2019/ 東大過去問, 第1問(要約), 難易度★★/ 5 comments

 

【目次】

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【問題】

次の文を読み、第二節(Now what… the rules of football.)の大意を100~120字の日本文で書け。ただし句読点も字数にかぞえる。

Every one has heard people quarrelling. Sometimes it sounds funny and sometimes it sounds merely unpleasant; but however it sounds, I believe we can learn something very important from listening to the kind of things they say. They say things like this: “How’d you like it if anyone did the same to you?” –“That’s my seat, I was there first” –“Leave him alone, he isn’t doing you any harm” — “Why should you shove in first?” –“Give me a bit of your orange, I gave you a bit of mine” –“Come on, you promised.” People say things like that every day, educated people as well as uneducated, and children as well as grown-ups.
Now what interests me about all these remarks is that the man who makes them is not merely saying that the other man’s behaviour does not happen to please him. He is appealing to some kind of standard of behaviour which he expects the other man to know about. And the other man very seldom replies: “To hell with your standard.” Nearly always he tries to make out that what he has been doing does not really go against the standard, or that if it does there is some special excuse. He pretends there is some special reason in this particular case why the person who took the seat first should not keep it, or that things were quite different when he was given the bit of orange, or that something has turned up which lets him off keeping his promise. It looks, in fact, very much as if both parties had in mind some kind of Law or Rule of fair play or decent behaviour or morality or whatever you like to call it, about which they really agreed. And they have. If they had not, they might, of course, fight like animals, but they could not quarrel in the human sense of the word. Quarrelling means trying to show that the other man is in the wrong. And there would be no sense in trying to do that unless you and he had some sort of agreement as to what Right and Wrong are; just as there would be no sense in saying that a footballer had committed a foul unless there was some agreement about the rules of football.

 

【単語】

  • quarrel → 口論する
  • merely unpleasant → 単に不快である
  • the kind of things → そのような種類のこと
  • How’d you like it? → (この文では)「どう思う?」「どう感じる?」
  • do the same → 同じことをする
  • leave A alone → Aを放っておく
  • shove → 突き飛ばす
  • come on → 「いいかげんにしろ!」「おいおい」
  • educated people → 学のある人
  • grown-ups → 大人
  • remarks → 発言
  • happen to do → たまたま〜する
  • please → 喜ばせる
  • standard of behaviour → 行動の規範(英国での綴り)
  • seldom do → めったに〜しない
  • reply → 返答する
  • to hell with~ → 「〜なんてくそくらえ」「〜なんて知ったことか」
  • nearly always → ほとんどいつも
  • make out → 証明する、主張する
  • go against the standard → 規範に反する
  • there is some special excuse → (過失・無礼に対しての)特別の理由がある
  • pretend → ふりをする
  • turn up → (出来事が)生じる
  • let A off doing → Aを〜することから免除する
  • both parties → 両者
  • have in mind → 頭の中に持っている
  • fair play → 公平な方法、フェアプレイ
  • decent behaviour → (社会通念上)しっかりした振る舞い(英国での綴り)
  • whatever you like to call it → (挿入的に)それをどのように呼んでもよいが
  • in the human sense of the word → その言葉(quarrel)の人間的な意味において
  • unless → 〜しない限り
  • as to~ → 〜について、〜に関して
  • commit a foul → ファールを犯す

 

【和訳】

人々が口論しているのを誰でも耳にすることがある。それは時に滑稽に聞こえるし、また時にはただ不愉快に感じられる。しかし、それがどのように聞こえるにせよ、人々が口にするそうした事を聞く事で、とても重要な事を学べると私は思う。人々はこんな事を言う。「誰かが同じ事をお前にしたら、お前はどう思うんだ?」「あれは俺の席だ、俺が先に取ったんだ。」「放っておいてやれよ、あいつはお前に何もしてないだろ?」「何で最初に突き飛ばしたんだ?」「俺のを少しあげたんだから、お前のを一口くれよ。」「おい、約束したじゃないか。」人々は毎日こんな事を言っている。こういった発言に関しては、学のある人も学のない人と同じだし、子供も大人と同じである。
さて、これらの発言全てにおいて興味深いのは、その人が、単に誰かの振る舞いがたまたま気にいらなかった、と言っているわけではない、という事だ。その人は他の人に知ってもらいたい振る舞いの規範のようなものについて主張しているのである。その場合、相手が「お前の規範など知るものか」などと答える事は極めて稀である。その人はほぼ間違いなく、自分がやってきた事がそれほど規範から外れていないと、あるいは、もし規範から外れているならば、そこには特別な理由があるのだと、説明しようとする。最初に席を取った人がそれを取り続けるべきでなかった特別な理由がその時に限ってあるかのようなふりをしたり、自分がオレンジを一口貰った時は状況が相当に違っていたとか、約束を守らなくても仕方ないような事情になった、というようなふりをするのである。実際こういうやり取りを見ると、双方が同意しているような、公平な方法、またはちゃんとしたやり方、またはモラル、、何と呼んでも良いが、、そういったものが両者の頭の中に存在しているようにしか思えないのである。そして事実、それは存在しているのである。万が一それが存在していなかったら、人は動物のように争うことはあっても、口論という言葉の人間的な意味において、口論する事は当然できないのである。というのも、口論とは相手が間違っている事を示そうとする行為なのであり、何が正しくて何が間違っているかについて、双方にある程度の同意がなければ、口論など無意味になってしまうからである。それはちょうど、フットボールのルールについてのある程度の同意がなければ、フットボールの選手がファールを犯したと言ってみても無意味なのと同じ事である。
 

 

【解答例】

人には善悪、適不適に関する規範についてのある程度の共通認識がある。そして人が口論する場合には必ずその規範に則る。一方は相手がその規範から逸脱した事を責め、他方は自分が規範から逸脱していないか、逸脱する特別な事情がある事を主張するのである。(119字)

 

【解説】

どのようなパターンの要約であっても、必ず守らねばならないポイントがあります。それを最初に列挙しておきます。

【要約のポイント】英文を正確に和訳できることが大前提である

【要約のポイント】要約とは、本文を読んでいない人でも、それを読むだけで内容を把握できるものである

【要約のポイント】まずは一番重要な内容を一言で言ってみる

 

以上のポイントは、この年以前の要約でも繰り返し言ってきたことなので、これ以上くどくどとは言いません。

 

◆ 最も重要な内容(要約の要約)

ではこの年度の問題文で最も重要な内容を一言で言ってみましょう。それは、『口論は双方が共有する規範意識に則って行われる』ということです。これを軸にしてまとめていきます。

 

◆ この文のパターン

この年の英文は具体例が非常に多いですね。第一段落は具体的な口論が大半を占めています。第一段落は問題文の指定がなかったとしても、要約に入れるべき内容は見当たりません。

第二段落は、第一段落で述べられた具体的な口論に沿う形で、一般論が展開されます。『第一段落は要約に入れるな』とわざわざ問題文に指定してくれているのは、『具体例を要約に入れるな』という念押しです。具体例を要約に入れてしまう生徒が毎年あまりに多いので、出題者が気をきかせたのでしょう。そのメッセージにすら気付かない生徒は、東大に相応しいレベルに達していないということになります。

この年の文はつまり、『具体的な内容が先行し、それを解説する形で一般化され、論が展開していく』というパターンになります。英文は最初に結論を述べると思い込んでいる生徒もいますが、英文にも様々なパターンがあるということが分かりますね。

となると、要約の方針は簡単でしょう。具体的な内容を取り除いて、濾し取られたものを整理するだけです。この年の要約は難易度の低いものになります。

【要約のポイント】抽象的な一般論と、具体的な例を照らし合わせながら読む

 

ということに気を付けながら、第2段落を見ていきましょう。

 

◆ 第2段落の第1文と2文(不満を述べる側)

Now what interests me about all these remarks is that the man who makes them is not merely saying that the other man’s behaviour does not happen to please him. He is appealing to some kind of standard of behaviour which he expects the other man to know about.(さて、これらの発言全てにおいて興味深いのは、その人が、単に誰かの振る舞いがたまたま気にいらなかった、と言っているわけではない、という事だ。その人は他の人に知ってもらいたい振る舞いの規範のようなものについて主張しているのである。)

結論の一部が述べられます。これは第1段落で提示された具体的な発言を解説し、一般化したものですね。つまり、不満を述べる側『他の人に知ってもらいたい振る舞いの規範のようなものについて主張している』ということです。

 

◆ 第2段落の第3文と4文(反論する側)

And the other man very seldom replies: “To hell with your standard.” Nearly always he tries to make out that what he has been doing does not really go against the standard, or that if it does there is some special excuse. He pretends there is some special reason in this particular case why the person who took the seat first should not keep it, or that things were quite different when he was given the bit of orange, or that something has turned up which lets him off keeping his promise.(その場合、相手が「お前の規範など知るものか」などと答える事は極めて稀である。その人はほぼ間違いなく、自分がやってきた事がそれほど規範から外れていないと、あるいは、もし規範から外れているならば、そこには特別な理由があるのだと、説明しようとする。最初に席を取った人がそれを取り続けるべきでなかった特別な理由がその時に限ってあるかのようなふりをしたり、自分がオレンジを一口貰った時は状況が相当に違っていたとか、約束を守らなくても仕方ないような事情になった、というようなふりをするのである。)

第1段落の発言が、ここで反論される形になっています。

  • 第1段落:「誰かが同じ事をお前にしたら、お前はどう思うんだ?」→第2段落:「お前の規範など知るものか」などと答える事は極めて稀。
  • 第1段落:「あれは俺の席だ、俺が先に取ったんだ。」→第2段落:最初に席を取った人がそれを取り続けるべきでなかった特別な理由がその時に限ってある。
  • 第1段落:「俺のを少しあげたんだから、お前のを一口くれよ。」→第2段落:自分がオレンジを一口貰った時は状況が相当に違っていた。
  • 第1段落:「おい、約束したじゃないか。」→第2段落:約束を守らなくても仕方ないような事情になった。

以上は具体的ですね。ここから引き出されることは、反論する側『自分がやってきた事がそれほど規範から外れていないと、あるいは、もし規範から外れているならば、そこには特別な理由があるのだと、説明しようとする』ということです。

 

◆ 第2段落の第5文目以降(両者の共有するもの)

 It looks, in fact, very much as if both parties had in mind some kind of Law or Rule of fair play or decent behaviour or morality or whatever you like to call it, about which they really agreed. And they have. If they had not, they might, of course, fight like animals, but they could not quarrel in the human sense of the word. Quarrelling means trying to show that the other man is in the wrong. And there would be no sense in trying to do that unless you and he had some sort of agreement as to what Right and Wrong are; just as there would be no sense in saying that a footballer had committed a foul unless there was some agreement about the rules of football.(実際こういうやり取りを見ると、双方が同意しているような、公平な方法、またはちゃんとしたやり方、またはモラル、、何と呼んでも良いが、、そういったものが両者の頭の中に存在しているようにしか思えないのである。そして事実、それは存在しているのである。万が一それが存在していなかったら、人は動物のように争うことはあっても、口論という言葉の人間的な意味において、口論する事は当然できないのである。というのも、口論とは相手が間違っている事を示そうとする行為なのであり、何が正しくて何が間違っているかについて、双方にある程度の同意がなければ、口論など無意味になってしまうからである。それはちょうど、フットボールのルールについてのある程度の同意がなければ、フットボールの選手がファールを犯したと言ってみても無意味なのと同じ事である。)

ここでは口論する双方の話になります。ここで1つポイントです。

【要約のポイント】同じことを逆から言った内容は要約に含めない

 

『口論する双方に共有している規範がなければ口論が成り立たない』という内容があります。これは逆から言えば『口論する際には双方がある種の規範を共有している』ということになります。そして要約する時は後者の方がよいです。同じことならば、否定文ではなく肯定文で言ったほうがシンプルだからです。

もう少し単純化すると

  • 彼はテストを受けて1番でないことはない
  • 彼はテストでいつも1番である

英文ではしばしは前者のような表現が現れますが、要約では後者の方が良いということです。

ですから、この年の場合は『口論する際には双方がある種の規範を共有している』などと書けば良いですね。

言うまでもありませんが、この部分に関して、最後のフットボールの例は要約に含めてはいけません。

 

◆ 必要な要素のまとめ

  1. 不満を述べる側:『他の人に知ってもらいたい振る舞いの規範のようなものについて主張している』
  2. 反論する側:『自分がやってきた事がそれほど規範から外れていないと、あるいは、もし規範から外れているならば、そこには特別な理由があるのだと、説明しようとする』
  3. つまり『口論する際には双方がある種の規範を共有していなければならない』

以上のことがまとめられていればよいと思います。字数がもっと少なければ『口論は双方が共有している振る舞いの規範についての共通認識に則って行われる。』程度にまとめることができますが、字数にかなり余裕があるので、上記の1~3の構造をそのまま生かして書くことができます。

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5 Comments

  1. 口論の様子を聞いていて興味深いことは、相手の掲げる規範に反論するのではなく、自分はその規範に背いていないと主張することが多いことだ。口論が成立する前提は、正しい行動に関する規範についての合意があることだ。

    1. コメントありがとうございます。良い解答ですね。時間内でこれだけ書ければ十分です。

      この年は比較的字数に余裕があります。万全を期すためにもう少し要素を詰め込んでおくと良いかもしれません。また要素の順序を整理すると自然な文になるのではないでしょうか。

      英文では第一段落の発言が責めている方で、それに対する反論が第二段落に書かれています。その構造を活かして、「規範についての合意」→「責める方」→「守る方」という形にすると自然な流れになるかもしれません。あなたの解答では反論する側しか書かれていないために、口論の雰囲気が出ていません。

      字数に余裕もありますし、書くこともあまりないので、『規範から逸脱する特別な事情がある事を主張する』という要素も入れておくと安心です。

      実際問題として、受験生が時間内で解く解答としてはこれで十分ですし、もしかしたら満点を付けてもらえるかもしれません。間違ったことも書かれていません。僕が採点するなら、他の生徒の解答のレベル次第になりますが、8~9点を付けると思います。

  2. Pingback: 東大要約のパターン | 0から始める東大英語

  3. ご説明ありがとうございます。
    確かに、具体例の適示についてもう少し一般性を持たせる工夫が必要だった気がします。

  4. 価値観を全く共有していない人同士では口論にはなり得ず、動物同士の喧嘩のようになってしまう。口論とは、善悪の判断に関しての互いの同意があり、自らは間違っていない、もしくは間違っていたがそれには特別な理由があるのだ、と主張するものである。(117字)

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