京大過去問 2009年 第1問(英文和訳)

/ 2月 24, 2021/ not only but also, 英文和訳, 京大過去問, 難易度★, 難易度★★, 難易度★★★★, コロンとセミコロン, as/ 2 comments

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【問題】

次の文の下線をほどこした部分(1)~(3)を和訳しなさい。

One day I was struck by the admittedly obvious but also incredible realization that, ever since Homo sapiens evolved, every single member of the human race must have possessed a completely unique brain, never duplicated in over tens of thousands of years. How else could each human being have been unique? As every single one of our predecessors have lived out their particular life story, a variety of experiences have literally left their mark on each and every brain. (1)And as each of our predecessors have followed their own particular narrative, so the accumulation of events has in turn acted as an ongoing frame of reference for evaluating whatever comes along next. Could this be the key to unlocking that most controversial of issues: the physical basis of the mind?
Sometimes human beings lose their minds — be they drunk, drugged, ecstatic or simply mad. All are very different conditions, but with this one crucial factor in common: something very special is missing. But what is it exactly that has vanished? Certainly not consciousness, that first-hand, subjective experience of the world. (2)After all, in mindless moments our brains still function: all senses are present if not entirely correct, as the final perspective on what is happening around you is a little distorted compared with ‘normal’. Not only that, but you can move your muscles, even if with a little less control or with greater hesitancy. So ‘loss’ of mind is not the same as loss of the most basic brain functions of senses-input, movement-output. And the converse holds: a paralyzed patient still has a mind comparable to that of anyone else, even if crucial brain functions for interfacing with the outside world are not operational.
What then is this ‘mind’, which is so bound up with the physical brain but so intuitively distinct from it? In the past philosophers, indeed most people, liked to think separately of the generic ‘brain’ as though it was a very different entity from ‘mind’ — a ‘physical’ thing as opposed to a ‘mental’ something. (3)So while no one has ever had a problem with what and where the brain was, and with perceiving it as an obvious physical object, the very concept of ‘mental’ events has caused unresolved intellectual conflict for centuries.
From I.D.: The Quest for Meaning in the 21st Century by Susan Greenfield
 

【和訳】

ある日私は、分かりきったことながら同時に信じられないようなことに気が付いた。それはつまり、現生人類が進化して以来、人類に属する一人一人が完全に独自の脳を所有し、それは何万年もの間複製されることがなかったに違いない、ということである。そうでなければ一人一人の人間が独自の存在ではあり得なかっただろう。我々の先祖の一人一人がその独自の人生を生き抜いていく時、その様々な経験が各々全員の脳に、文字通り刻まれてきたのである。(1)そして我々の先祖の一人一人が自分だけの物語を辿っていく時には、今度はその積み重ねてきた出来事が、何であれ次に起きた事を評価するための、現在進行形の判断基準として機能してきたのである。これは最も論争の多い問題、つまり精神の物理的な基礎という問題を解く鍵となり得るだろうか。
酔っ払っていても、薬物を摂取していても、興奮の只中にあっても、単に怒っているのであっても、時として人間は精神に異常をきたす。これら全ては違った状態ではあるが、重大な共通要因がある。つまり極めて特別な何かが欠けているということである。では消失したものは厳密には何なのだろうか。それが意識、つまり世界に対する直接的かつ主観的経験でないのは明らかである。(2)というのも、精神が異常な状態にあるときであっても、脳はまだ機能しているからである。自分の周りで起きている事に対する最終的な捉え方は『平常時』と比べるとわずかに歪められているために、完全に正確とは言えないとしても、全ての感覚は存在している。それだけでなく、たとえ普段より少しコントロールが難しく、ためらいがより強く感じられるかもしれないが、筋肉を動かすこともできる。だから、精神に異常をきたすことは、感覚の入力と動作の出力という脳の最も基本的な機能を失うことと同義ではない。そして逆もまた成り立つ。つまり体に麻痺のある病人は、たとえ外界と接続するための脳の重大な機能が働いていないとしても、依然として他の誰と比べても劣らない精神を有しているのである。
それならば、物質としての脳と密接な関係にありながら、直観的に分かるほどに脳とは異なる存在である、この『精神』とは一体何なのだろう。過去の哲学者は、いや実の所ほとんどの全ての人々は、一般的な『脳』を、それがまるで『精神』とはまるで異なった存在、つまり『精神的な』何かとは対極にある『物質的な』ものとして、区別して考えることを好んだ。(3)それゆえに、脳がどういったもので、どこにあるかということ、そしてそれを明らかな物質的な対象としてとらえることを、誰も問題にしなかったのだが、『精神的な』事象という概念そのものは、何世紀もの間、未解決の知的論争を引き起こしてきたのである。
 

【難単語・難熟語】

  • admittedly → (文修飾)〜なのは認めるが
  • Homo sapiens → ホモ=サピエンス、現生人類
  • duplicate → 複製する
  • how else~? → 他にどうやって〜?、そうでなければ
  • predecessor → 先祖、祖先
  • live out → 最後まで生きる、生き抜く
  • literally → 文字通り
  • leave mark → 痕跡を残す
  • narrative → 物語、語ること
  • come along → (予期しないことが)やってくる
  • ongoing → 継続中の、進展中の
  • reference → 参考、参照
  • frame → 枠組み
  • frame of reference → 価値観、判断基準
  • controversial → 論争を引き起こすような、賛否両論のある
  • ecstatic → 非常に興奮した、恍惚とした
  • mad → 非常に怒っている
  • crucial → 極めて重大な、決定的な
  • first-hand → 直接の
  • subjective → 主観的な
  • after all → (文頭で・聞き手が既に知っている事を確認して)だって〜だから
  • perspective → ものの見方、観点
  • distort → 歪める
  • hesitancy → ためらい
  • not the same as A → Aと同じではない
  • the converse → 逆のこと
  • interface → 接続する
  • operational → 機能している
  • comparable to A → Aと同等の、匹敵する
  • bound up with A → Aと密接な関係にある
  • intuitively → 直観的に
  • generic → 一般的な
  • entity → 実体、物
  • perceive → 理解する、知覚する
  • object → 物体、対象
  • event → 出来事、事象
  • unresolved → 未解決の
  • conflict → 争い、対立
  •  

    【読解・解答のポイント】

    難易度★★★★And as each of our predecessors have followed their own particular narrative, so the accumulation of events has in turn acted as an ongoing frame of reference for evaluating whatever comes along next.

    そして我々の先祖の一人一人が自分だけの物語を辿っていく時には、今度はその積み重ねてきた出来事が、何であれ次に起きた事を評価するための、現在進行形の判断基準として機能してきたのである。






     
    難易度★★After all, in mindless moments our brains still function: all senses are present if not entirely correct, as the final perspective on what is happening around you is a little distorted compared with ‘normal’. Not only that, but you can move your muscles, even if with a little less control or with greater hesitancy.

    というのも、精神が異常な状態にあるときであっても、脳はまだ機能しているからである。自分の周りで起きている事に対する最終的な捉え方は『平常時』と比べるとわずかに歪められているために、完全に正確とは言えないとしても、全ての感覚は存在している。それだけでなく、たとえ普段より少しコントロールが難しく、ためらいがより強く感じられるかもしれないが、筋肉を動かすこともできる。








     
    難易度★So while no one has ever had a problem with what and where the brain was, and with perceiving it as an obvious physical object, the very concept of ‘mental’ events has caused unresolved intellectual conflict for centuries.

    それゆえに、脳がどういったもので、どこにあるかということ、そしてそれを明らかな物質的な対象としてとらえることを、誰も問題にしなかったのだが、『精神的な』事象という概念そのものは、何世紀もの間、未解決の知的論争を引き起こしてきたのである。





     

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2 Comments

  1. 「after all → (聞き手が既に知っている事を確認して)だって〜だから」に関して、どうしてこのような意味が生じたのか、その由来を教えていただけないでしょうか。「すべての後で⇒結局」はわかりやすいのですが、「, because」のような意味が派生したのでしょうか?

    1. kkさん、ありがとうございます。僕は深く考えたことがなかったのですが、とても興味深い質問ですね。日本語のサイトを簡単に検索した所、「だって〜だから」という意味が重要だと書いているサイトはたくさん見つかりましたが、なぜそう言った意味が生まれたのかについて説明しているサイトは見当たりませんでした。

      以下のオンライン英英辞典の記述が面白いと思ったので、紹介します。

      https://www.dictionary.com/browse/after–all

      1
      Despite everything, nevertheless, as in The plane took off half an hour late but landed on time after all.

      2
      After everything else has been considered, ultimately, as in Mary has final approval of the guest list; after all, it’s her wedding. The two usages are pronounced differently, the first giving stress to the word after and the second to the word all. Both date from the early 1700s. Also see when all is said and done.

      この2つ目の定義になりますが、After everything else has been consideredとあるように、『全てのことを考慮した結果 → やはりこういうことが言えるよね?(聞き手もそれに当然納得するという前提)→ だから前文で僕が言ったことは正しいよね。』という意識が働いている表現なのではないでしょうか。

      この2用法でアクセントが違うという記述も面白かったのでよければ参考にしてください。個人的には、1つの目の用法ではafterが強調されることで『結果』に焦点が当てられ、2つ目の用法ではallが強調されることで、様々なことを考え合わせるという『考慮』に焦点が当てられているような気がします。

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