福島医科大学 2017年度 第1問 和訳・解答

/ 5月 19, 2018/ 難易度★★★★, 医学部/ 0 comments

【和訳】

多くの人にとって、ワトソンは『ジョパディ』のスターであるケン・ジェニングスに対抗するためのIBMの解答として、記憶されている。しかしその人工知能のスーパーコンピュータについてのIBMの野望は、クイズ番組のチャンピオンになることではなくむしろ、医学の天才になることである。

ジョパディの現世界チャンピオンであるスーパーコンピュータのワトソンは、ジョパディに勝利した後は、基本的に医学学校に通っていると言える。『第2次機械時代』の共著者であるMIT(マサチューセッツ工科大)のアンドリュー・マカフィは、スモール・プラネットのインタビューに対して、最近こう答えている。「ワトソンがまだ世界最高の診断医師でないとしても、それは時間の問題さ」と。

ワトソンはすでに医者よりもはるかに多い医学知識を蓄えることができ、人間と違って、その決定は全て証拠に基づいており、認知バイアスや自信過剰もない。また自然言語を理解し、仮説を立て、その仮説の妥当性を評価し、学習することができる(データを蓄えるだけでなく、データの意味を探るという学習である)。

IBMの科学者はワトソンを訓練し、その膨大な知識の蓄積を実際の医学的決断に適用しようとしており、その診察の成績がもっとも優秀な医者さえ凌ぐのは、ただ時間の問題であるようだ。

2011年に遡ると、なぜ『ワトソン医師』の診察が革命をもたらすことになるのかについて、マカフィーは自身のブログで述べている。

(A)ワトソンは入手可能な医学的知識を全て網羅している。人間の医師はこのような量の情報を頭の中に叩き込むことは絶対にできないし、時代とともに変化する知識についていくこともできない。ワトソン医師はそれを全て知り、何かを見過ごすことも、何かを忘れることもない。

(B)ワトソンは正確である。もし現在のワトソンがゲームショーの質問に答えるのと同じくらい、ワトソン医師が医学的質問に答えるのが得意だとしたら、本当に優秀な診察医になるだろう。

(C)ワトソンには一貫性がある。同じ入力を与えられたら、ワトソン医師は必ず同じ診断を出力する。一貫性のなさというのは、人間の医療専門家においては、たとえ熟練者であっても、驚くほど広範で一般的な誤りなのである。そしてワトソン医師はいつでも利用可能で、イライラしたり病気になったり緊張したり二日酔いになったりうろたえたり睡眠不足になるなどといったことはない。

(D)ワトソンは経費がとても少なくて済む。ワトソン医師を作成し、訓練するのは非常に多額の費用がかかるが、ひとたび可動し運用が始まれば、ワトソンが検査を指示しない限り、それを使っての診断の経費はいくら増やしても基本的にゼロである。

(E)ワトソンは世界中のどこででも利用可能である。コンピュータか携帯電話を利用できる人であれば誰でも、ワトソン医師は待機していて診断してくれる。

ワトソンは何十ものテキスト、医学誌の2つの膨大なデータベースである『パブメド』と『メドライン』、数千ものスローン・ケッタリング記念癌センターの患者の記録を読んでいる。要するに「ワトソンは65000の医学的証拠と、200万ページのテキストと、25000の研修事例を分析し、臨床医の助けにより14700時間にわたる診断決定の微調整が行われた」と『フォーブス』が2013年に報じている。

そしてワトソンは毎年賢くなり続けている。ではワトソン医師は実際どのように勤務するのだろうか?IBMはその過程を次のように記述している。まず医師が症状とその他の関連する要因をシステムに入力する。(3)するとワトソンは、情報の中のキーポイントを特定し、患者のデータを分析することで、家族の病歴、現在の投薬、そしてその他の現在の条件についての関連する要因を検出する。(4)ワトソンはこの情報と検査による現時点での発見とを組み合わせ、様々なデータソースを精査する事で、仮説を立て、その仮説を検証する。こうしてワトソンは可能性のある治療の選択肢を提示することができる。

今年の前半に『ウォール・ストリート・ジャーナル』が報じたように、スーパーコンピュータの潜在能力は絶大だが、現在の所「日々のビジネスにワトソンを使用しているのはごく一握りの顧客に過ぎない」し、将来可能になるであろうレベルや領域の広さほどの活躍を現在しているとはとても言えない。

これまでの所、IBMの人工知能に関するパートナーシップの中で最も注目されるものは、ワトソンが白血病の治療を勧める手助けをしているMDアンダーソン癌センターとの関係と、保険業者が医者の治療計画を評価するのをワトソンが手助けしているウェルポイントとの関係である。肺癌の診断において、既にワトソンのシステムは人間の医師を明らかに上回っている、とウェルポイントは主張する。

ワトソンは吸収した情報の全てを利用することがまだできないため、人間の最高の診断医に追い付くにはまだ長い道のりが残っている。対応の広範さや素早さという点で彼らに並ぶのは困難なのである。しかし知識を学び、分析し、応用するワトソンの能力からすれば、最終的にはそこにたどり着くであろうと思われる。

 

【解答】

 問1 人間の医師が自らの診断を過信してしまうこと。
 問2 (A)医学知識を網羅している。 (B)診断が正確である。 (C)診断に一貫性がある。 (D)経費が少なくて済む。 (E)世界のどこからでも利用できる。
 問3 (全訳参照)
 問4 ①保険業者が医師の治療計画を評価するのを手助けする役割。 ②肺癌の診断。

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