東大過去問 1997年 第1問(要約)

/ 2月 21, 2020/ 東大過去問, 第1問(要約), 過去問/ 2 comments

【目次】

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【問題】

次の英文の内容を100〜130字の日本語に要約せよ。ただし、句読点も字数に数える。

Until a few years ago, the common idea among archaeologists was that early human beings began to practice farming because they had no choice. Experts claimed that population growth led people to push some of their group members out of the most productive areas where it was easy to hunt and gather plenty of food from the wild.
Living on the poorer edges of the rich environments, according to the old thinking, these people noticed that seeds of gathered wild plants often began to grow where they had been thrown away or accidentally dropped. They then realized that planting crops intentionally in these poor areas provided a more plentiful and reliable source of food than hunting and collecting wild plants that could be eaten. As a result, according to the traditional idea, temporary camps in the poor areas developed into permanent settlements. Recent research, however, suggests it didn’t happen quite that way.
Archaeologists now think that agriculture might not have begun just by accident. Instead, it might have begun because early humans did some scientific research. They say that because ancient peoples had experienced occasional bad years when wild foods were not easily available, people thought they should look for ways of making sure they always had enough food. So they experimented with particular wild plants, and eventually chose to grow the ones that seemed the best. Archaeologists say now that necessity was not necessarily the mother of the invention of agriculture. Instead, human creative ability was.
(注) archaeologist:考古学者

 

【単語】

  1. archaeologist 考古学者
  2. farming 農耕
  3. have no choice やむを得ない
  4. expert 専門家
  5. claim 主張する
  6. population growth 人口増加
  7. push A out of B AをBから追い出す
  8. the most productive area 最も生産的なエリア
  9. gather 集める
  10. plenty of~ たくさんの〜
  11. rich environment 肥沃な環境
  12. according to~ 〜によれば
  13. seed 種
  14. wild plant 野生の植物
  15. throw away 捨てる
  16. accidentally 偶然
  17. intentionally 意図的に
  18. provide 供給する
  19. plentiful 豊富な
  20. reliable 安定した、頼ることのできる
  21. source 供給源
  22. as a result 結果として
  23. temporary camp 一時的な野営地
  24. permanent settlement 永続的な居住地
  25. agriculture 農業
  26. just by accident 単に偶然のみによって
  27. instead そうではなく、かわりに
  28. experience 経験する
  29. available 手に入る
  30. make sure 確実にする
  31. experiment 実験する
  32. particular 特定の
  33. eventually 最終的に
  34. necessarily 必ずしも
  35. mother of the invention 発明の母
  36. creative ability 創造性

 

【和訳】

数年前まで、かつての人類はやむを得ず農耕を始めたというのが、考古学者の間での定説だった。人口増加によって、人々は集団の一部を、自然から十分な食糧を容易に狩猟採集できる最も生産的な地域から追い出す事になった、と専門家は主張していた。
豊かな環境の周りの乏しい地域に住み始めた人々は、野生の植物から集めた種が、捨てられたり、偶然落ちた場所で育ち始める事が多い、という事に気が付いた、というのが従来の考え方である。そして彼らは、その乏しい地域に意図的に作物を植える事で、狩りをしたり食べられる野性植物を採集するよりも、より豊富で安定した食糧源になると気が付いたのだという。伝統的な考え方によれば、その結果、乏しい地域の一時的な野営地が永続的な居住地になったのだという。しかし最近の研究は、事はそんな風に起きたのではないと示唆している。
考古学者は今、農耕は単に偶然によって発祥したのではないかもしれないと考えている。そうではなく、農耕はかつての人類がある種の研究を行った結果始まったのかもしれない、というのである。古代人はしばしば野生の食糧の入手が困難になる不作の年を経験していたので、常に十分な食糧を確保する方法を探すべきだと考えていたという。だから、古代人は特定の野性植物で実験を行い、最終的に最も良いと思われるものを選んだ。現在の考古学者によれば、必要は必ずしも農耕の発明の母ではなかった。そうではなくそれは、人間の創造能力だったのだ。
 

 

【解答例】

人口増加によって食糧の乏しい地域へ追い出された人々が、必要にかられた末、種子の成長に偶然気付いた事で農耕が始まった、というのが従来の考古学の定説だった。しかし最近では、農耕は古代人が食糧不足の年に備え、科学的創造的に研究を行った結果だろうと考えられている。(127字)

 

【解説】

【要約のポイント】英文を正確に和訳できることが大前提である

 

このポイントはどれだけ強調してもしすぎることはありません。初見の英文であっても、正確に和訳できるようにすることが第一です。 正確に和訳できた時点で、要約問題はほぼ終わっているようなものです。もしも正しい日本語に訳すことができているのに、それを日本語で要約できない生徒は、英語力以外の部分が足りていないと言えます。

この年(1997年)の要約は、東大英語史上最も簡単な要約問題の一つです。英文自体に難しい単語や構文が出てこない上に、論理展開も極めて平易です。分かりやすい段落構成になっているので、その順番通りにまとめていけば、自然と要約が出来上がります。

 

◆ 第1段落 【従来の説①】

農耕は、(人口増加の結果)豊かな地域から追い出された結果、『止むを得ず』始めたものである。

◆ 第2段落【従来の説②】

人々は、捨てられたり『偶然』落ちた種子が育つのに気がついた。

その後、(食べるものがないので仕方なく)植物を育て始め、食糧源とするに至った。

◆ 第3段落【現在の説】

農耕は『偶然』始まったものではなく、『科学的研究』の結果かもしれない。

食糧危機を経験していた古代人は、安定的食料確保の方策を探していた(=即座に飢えるような状況ではなかった)。

いくつかの野生の植物で実験した結果、最も良いものを育てることに決めた。

 

最後の

necessity was not necessarily the mother of the invention of agriculture. Instead, human creative ability was (the mother of the invention of agriculture).

という部分は、英語にありがちな、ちょっとかっこよい決め台詞で文章を締めようとする例のパターンで、比喩でもあるので、基本的に要約に入れる必要はないです。ただ、何が何の比喩にあたるのか、対応関係を確認することで、文全体の理解に役立ちます。

necessity→追い出されて『やむを得ず』農耕を始めたこと

human creative ability→飢餓に備えて、科学的な研究・実験を元に、農耕を始めたこと

この科学的な研究・実験こそがhuman creative ability創造性である、というのは、最終文になって初めて表明された筆者の意見なので、要約に含めてもよいでしょう。またno choice=必要性necessityという対応関係を、さらっと要約に含めると素敵になります。

簡単すぎて、特に説明する部分もありませんが、『昔はこう言われていたが』『今はこう言われている』という構成でまとめる以外あり得ないでしょう。細部で差がつく問題と言えるかもしれませんし、あるいはさっさと解いて、別の問題に時間をかけた方が良いかもしれません。

 

【生徒の答案】

人口増加の影響で、食料がよく採れる場所から追い出された人達が止むを得ず農業を営み始めたことから農業が始まったというのが従来の考えであったが、現在では食料を確保するために創造力を活かした科学的な研究や実験を実施した為であると考えられている。(119字)

 

【生徒の答案の採点と添削】

素晴らしい解答だと思います。満点でよいでしょう。

あえて言うならば、『考えであった』『考えられている』の主体は、Archaeologist考古学者であるということを明示した方が良いです。というのは、現在でも多くの人(考古学などに詳しくない人々)は、漠然と従来の説を信じていると考えられるからです。

他には何も問題ありません。

 

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2 Comments

  1. Pingback: 東大要約のパターン | 0から始める東大英語

  2. 太古の昔、狩りに有利な土地を追い打された人々が偶然に農耕を発見し、やがて定住を始めたとするのが数年前までの考古学の一般的見解だったが、最新の研究によれば古代人が実験により最も効率的に食料を確保する方法を確立した結果農業が始まったとされている。(121字)

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