東大和訳練習3 難易度★★★★★

/ 9月 28, 2017/ 難易度★★★★★, 英文和訳, 文構造の立体的把握, it that構文(形式主語), so that構文, 名作シリーズ/ 0 comments

   It is a truth universally acknowledged, that a single man in possession of a good fortune, must be in want of a wife. However little known the feelings or views of such a man may be on his first entering a neighborhood, this truth is so well fixed in the minds of the surrounding families, that he is considered the rightful property of some one or other of their daughters.

Jane Austen 『Pride and Prejudice』

イギリスの女流作家ジェーン・オースティンの名作『高慢と偏見』の冒頭部分。夏目漱石が絶賛したことで有名ですね。全文を訳してください。

3日目にして激ムズです。単語力と構文の把握力に加え、たった2文の中に当時の下流貴族階級の人生の機微まで感じ取る力が必要です。なんとなく分かったつもりでなく、正確に訳せているか必ず紙に書いてみた後で、以下の解答を確認してみてください。

チンプンカンプンならば、ヒントを見てから解いてもOKです。

 

 

ヒント

  1. これはこの物語の最冒頭ですから、Itがそれ以前のものを指すことはありません。
  2. この物語の主人公はイギリスの下級貴族の次女として生まれ、その家には結婚適齢期の娘が5人、跡継ぎになる息子はいないという状況です。そこに超上流の貴族(しかもイケメン)が引っ越してきたらどうなるでしょうか?古今東西を問わず、似たような仕立てのドラマが人気を博すのですね。もちろんこうした背景は先を読み進めないと分からないのですが、先回りで知っておくことがヒントになります。
  3. single,fortune,want,fixなど一見簡単な単語の意味に気を付けましょう。
  4. he=a single manです。
  5. their=the sorrounding families’です。
  6. 2文目はいわゆるso that構文です。
  7. howeverは譲歩節を導き、「いかに~だとしても」という意味になります。

 

和訳

十分な財産を持った独身男性は当然妻を必要としているはずだ、というのは世に広く認められた真理である。この真理はあたりに住む家族の心に深く根付いているので、そうした男性が近所に引っ越してくると、彼の感情や考えなどお構いなしに、あたりのいずれかの娘が彼を婿として獲得してしかるべきだと考えられる。

 

解説

 

  1. 1文目はいわゆるit that構文ですね。that以下が主語です。
  2. 受験レベルの単語ばかりですが、文中での意味をとらえるのはけっこう難しいです。a single man=独身の男。universally=普遍的に。universally acknowledged=万人に認められている。fortune=財産。in possession of a good fortune=非常な財産を持っている。must=~にちがいない。in want of~=~を必要としている。

 

  1. little known=ほとんど知られていない。However little known を直訳すると「いかにほとんど知られていないとしても」です。受動態の過去分詞部分「little known」をまとめて、「ほとんど知られていない」という形容詞としてとらえることで、howeverと結びつく。後ろにmayがあることでhoweverが譲歩を表すことが分かります。

  1.  fixed in the mind=固定概念となっている。rightful=正当な。property=財産、所有物。
  2. rightful propertyを直訳すると「正当な所有物」です。これは引っ越してきた金持ち男性を、自分の娘の婿にしようと躍起になる近所の貴族達の気持ちを表しています。「わが娘よ、あの有望な男をモノにしてきなさい」というわけです。
  3. so that構文は最も基本的な構文の1つですが、見落とされやすいですよね。文が長くなったり、文意がうまく掴めないときに見落としてしまうんです。そういうわけで東大入試でも頻出です。図のように修飾関係を整理すると、すっきりします。
  4. so that構文はいうまでもなく、「so <形容詞> that SV」の形で「とても<形容詞>なのでSV」と訳されます。この文では形容詞にあたるのがfixed in the minds of the surrounding familiesです。
  5. this truthは「財産のある独身男性は妻を必要としていること」です。
  6. theirの中身はsurrounding familiesです。もちろん家族と言ってもある程度の身分の貴族ですが・・・
  7. この導入部だけでジェーン=オースティンの穏やかなユーモアセンスと人間観察力が感じられますね。イケメン金持ちが登場しても、自分はすこし離れたところから、大騒ぎする俗っぽい下級貴族たちを眺めている視点が、この2文だけで感じられます。

 

単語チェック

最後に単語をチェックしましょう。「今日の英文で使われた意味」が全部言えるかチェックしてみてください。

  • universally acknowledged
  • single man
  • possession
  • good fortune
  • in want of
  • be fixed in the mind
  • surrounding
  • rightful
  • property

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