東大過去問 2022年 第4問B(和訳)
- 難易度★★☆☆☆(2/5)
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【問題】
以下の英文を読み、下線部(ア)、(イ)、(ウ)を和訳せよ。(ア)については”so”が指す内容を明らかにして訳すこと。
One year, as the school library supervisor, I was in an elementary school library that had begun circulating books on the first day of school. I was helping at the circulation desk. One fourth grader asked if he could have a specific book. “Of course!” I said. (ア)He didn’t think so, as his teacher had told him to check out a book with a yellow label. So, I took out my library supervisor’s business card, wrote a note to the teacher on the back of it, stuck the note in the book, and checked it out to the child.
I imagine this scenario — in which children must choose between books based on instructional priorities and those they want to read for pleasure — plays out frequently in school libraries or classrooms. (イ)There is a divide between the noble calling to teach children how to read and the equally noble calling to inspire a love of reading. We school librarians dance across this divide daily.
The motivation to read is largely self-determined, and choice is a powerful driver. People, including children, choose to do that which is fun, personally rewarding, or easy. This is where the dance begins! If learners develop and satisfy personal curiosity by reading widely and deeply in multiple formats, then we must surround our learners with opportunity and help them make connections between the school library’s resources and their interests. Finding and borrowing books (or using other kinds of tests) should be fun, accessible, and free of barriers. We need to consider how our policies, procedures, and routines inspire children and encourage their engagement with text, as well as how they guarantee all learners’ rights to intellectual freedom. (ウ)Reducing choice, whether through labeling, age-related rules, or restrictive policies, is not a strategy that makes children fall in love with books and reading. If our goal is to help learners self-identify as readers, then we must help them make connections with text through practices that celebrate the reading life.
【和訳】
ある年、私は学校図書室のスーパーバイザーとして、学校の初日に図書の貸し出しを開始していたある小学校の図書室にいた。私が貸出デスクの業務を手伝っていた所、1人の4年生の生徒がある特定の本を借りられるかどうかをたずねた。『もちろん!』と私は答えた。(ア)彼は教師から黄色のラベルのついた本を借りるように言われていたために、ラベルのついていない自分が希望していた本を借りられると思っていなかった。そこで私は、図書室スーパーバイザーとしての自身の名刺を取り出して、裏にその教師宛てのメモを書き、それを本に挟み、その子に貸し出した。
私はこうした場面、つまり子供たちが教育上の優先事項に基づいた本と楽しみのために読む本との間で選択を迫られるという場面が、学校の図書室や教室内で頻繁に演じられていると想像している。(イ)子供に読書の方法を教えるという崇高な使命と、読書への愛を喚起するという同様に崇高な使命との間には隔たりがある。我々学校の図書館員はこの隔たりの間で日々奮闘しているのである。
読書に対する意欲は主として自発的なものである。そして選択の自由が強力な原動力となる。人は、たとえ子供であっても、面白くて、個人的見返りがあり、楽なことをしようとするものである。こうして図書館員の奮闘が始まるのである。学習者は多様な形式による広く深い読書によって、個人的な好奇心を育て満足させるのだから、我々図書館員は学習者にその機会を存分に与え、図書室の蔵書と彼らの興味を結びつける手助けをしなければならない。本を見つけて借りること(あるいは他の形式のテキストを利用すること)は、楽しく容易でなければならないし、障害があってはならない。我々は図書館の方針や手続きや日常的な仕事が、いかに子供に意欲に与え、テキストとの触れ合いを奨励するかを考慮しなければならないし、同様に、それらがいかに全ての学習者に知的自由の権利を保証するのかについても考慮しなければならない。(ウ)選択の幅を狭めることは、それがラベリングであれ、年齢制限であれ、貸出制限であれ、本と読書に夢中になるよう子供達を導くための上策とは言えない。我々の目標は学習者が自身のアイデンティティを確立することを手助けすることなので、読書生活を盛り立てるような業務を通して、学習者がテキストとつながりを持つための手助けをしなければならない。
【解答】
(ア) 彼は教師から黄色のラベルのついた本を借りるように言われていたために、ラベルのついていない自分が希望していた本を借りられると思っていなかった。
(イ) 子供に読書の方法を教えるという崇高な使命と、読書への愛を喚起するという同様に崇高な使命との間には隔たりがある。
(ウ) 選択の幅を狭めることは、それがラベリングであれ、年齢制限であれ、貸出制限であれ、本と読書に夢中になるよう子供達を導くための上策とは言えない。
【難単語・難熟語】
- supervisor → 監督者、ここでは学校の図書室をよりよいものにするために、図書室運営を指導・支援する人のこと。
- circulate → ここでは『(本を)貸し出す』(circulateの元の意味は『循環させる』。本を循環させるイメージ。)
- circulation desk → 貸出・返却デスク
- specific → 特定の
- check out → (米用法)(本を)借りる、貸す
- business card → 名刺
- note → メモ
- stuck → stick(差し込む・貼り付ける)の過去形・過去分詞形
- scenario → シナリオ、予想される事態
- instructional → 教育の
- priority → 優先事項
- books based on instructional priorities → つまり先生が読ませたいようなお堅い本、あるいは名作とされるような推薦図書のこと
- play out → 演じる
- divide → 不一致、溝、分割
- noble → 気高い、立派な
- calling → 使命感、職業、天職
- dance → 揺れる、飛び回る
- motivation → 動機、誘因、意欲
- largely → 大部分が、主に
- self-determined → 自ら決定した
- choice → 選択権、選択の幅
- driver → 原動力、誘因
- the dance → ここでは第2段落最後のWe school librarians dance across this divide daily.を受けている。
- if → ここではある事実を認めて理由を述べる用法、〜なので
- multiple → 多様な
- format → 形式、方法、(本の)判型
- surround A with B→ AをBで囲む
- opportunity → 機会、チャンス
- make connection between A and B → AとBを結びつける
- resource → 資源、資料、ここでは図書室の蔵書のこと。
- using other kinds of texts → ここでは新聞・雑誌・インターネット上の文章などに触れることを想定していると思われる
- accessible → (簡単に)入手できる、利用できる
- policy → 方針、方策
- procedure → 手順、手続き
- routine → いつもしている仕事、日課、所定の手順
- encourage → 奨励する、促進する
- engagement with A → Aとの関わり、ふれあい
- guarantee → 保証する
- restrictive policy → ここでは図書館の貸出制限のこと
- self-identify → アイデンティティを自分で確立すること
- practice → 実践、行い、業務
- celebrate → 祝う、褒め称える
【読解・解答のポイント】
難易度★★(ア)He didn’t think so, as his teacher had told him to check out a book with a yellow label.
彼は教師から黄色のラベルのついた本を借りるように言われていたために、ラベルのついていない自分が希望していた本を借りられると思っていなかった。
難易度★★(イ)There is a divide between the noble calling to teach children how to read and the equally noble calling to inspire a love of reading.
子供に読書の方法を教えるという崇高な使命と、読書への愛を喚起するという同様に崇高な使命との間には隔たりがある。
難易度★★(ウ)Reducing choice, whether through labeling, age-related rules, or restrictive policies, is not a strategy that makes children fall in love with books and reading.
選択の幅を狭めることは、それがラベリングであれ、年齢制限であれ、貸出制限であれ、本と読書に夢中になるよう子供を導くための上策とは言えない。
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