東大過去問 2020年 第1問(要約)

/ 3月 1, 2020/ 東大過去問, 第1問(要約), 過去問/ 4 comments

【問題】

以下の英文は、高齢者にやさしい(age-friendly)町づくりを促進するための世界的な取り組みについて論じたものである。この文章の内容を70〜80字の日本語で要約せよ。句読点も字数に含める。

The age-friendly community movement has emerged as a powerful response to the rapidly growing aging population. Although definitions of “age-friendly community” vary, reflecting multiple approaches and methods, many models highlight the importance of strengthening social ties and promote a vision that takes into account all ages. For example, Kofi Annan, who served as the seventh Secretary-General of the United Nations, declared in the opening speech at the UN International Conference on Aging in 1999, “A Society for All Ages embraces every generation. It is not fragmented, with youths, adults, and older persons going their separate ways. Rather, it is age-inclusive, with different generations recognizing and acting upon their common interests.”
The World Health Organization and other international organizations further articulate this premise by defining aging as a lifelong process: “We are all aging at any moment in our life and we should all have the opportunity to do so in a healthy and active way. To safeguard the highest possible quality of life in older age, WHO endorses the approach of investing in factors which influence health throughout the life course.”
In practice, however, the age-friendly community movement has focused primarily upon the needs and interests of older adults and their caregivers and service providers. In doing so, it has failed to gather enough data from youth and families about what produces good living conditions in a city or about opportunities for and barriers against working together with older adults.
What accounts for this gap between vision and practice? One answer may lie in the common assumption of the age-friendly community movement that what is good for older adults is good for everyone. In other words, if the age-friendly movement succeeds in making communities suitable for older adults, those communities will then be suitable for all generations. While there are many shared interests among different generations, recent studies in the United States and Europe indicate that young adults and older adults differ in their voting patterns and attitudes more than at any time since the 1970s. These studies suggest that in order to fully understand what constitutes a city that is friendly to people at different stages of the aging process, it is critical to gather data from multiple generations bout what makes a city good for both growing up and growing older.

 

【単語】

 

【和訳】

高齢者にやさしいコミュニティを促進する運動は、高齢者の急速な増加に対する有力な解答の一つである。『高齢者にやさしいコミュニティ』の定義は、アプローチや手法次第で変化するが、多くのモデルにおいて、社会の繋がりを強化し、あらゆる年齢の人を考慮したビジョンを促進することを重視している。例えば、7代目の国連事務総長を務めたコフィ=アナンは、1999年の高齢化人口に関する国連国際会議において、次のように宣言している。「全年齢のための社会とは全ての世代を包含するものである。若者・大人・老人がそれぞれ別の道を行くような、バラバラの社会ではない。むしろ異なる世代が共通の利益を認め合い、それに基づいて行動するような、年齢を跨いだ社会である」
WHO(世界保健機関)とその他の国際機関は、加齢を一生涯続くプロセスと定義することによって、この前提をより明確に述べている。曰く、「我々は誰しも、人生のいかなる瞬間においても、歳を取っているのであって、我々の誰もが健康的で活動的な形で歳を重ねる機会を持つべきである。老年期の生活の質を可能な限り高めるために、WHOは、人生の流れの中で健康に影響を与え続ける要因に対して投資するというアプローチを推奨する」
しかし、実践の場においては、高齢者にやさしいコミュニティ運動は、基本的に高齢者とその介護者、またはその関連サービスに携わる者の必要と利益に焦点を当ててきた。そのせいで、町において、何が良い生活環境を生み出すのか、あるいは高齢者と共に働く際に何が良い機会になっており、何が障害となっているかについて、若者や家族から十分なデータを集めることが出来ていない。
このビジョンと実践のギャップをどのように説明すればよいだろうか。老人にとって良いことはあらゆる人にとって良いことであるという、高齢者にやさしいコミュニティ運動でよく見られる誤った前提が、その答えの一つかもしれない。言い換えれば、高齢者にやさしい運動が老人に適したコミュニティを作ることに成功すれば、このコミュニティはあらゆる世代にとって適したものになるという前提である。違った世代にも共通する利益が存在することは事実だが、アメリカやヨーロッパにおける最新の研究によると、若い成人と老人の間には投票パターンや態度において、1970年代以降で最も大きな差異が見られるという。これらの研究が示すのは、様々な加齢プロセスの段階にいる人々全てにやさしい町とはどのようなものなのかを理解するためには、既に年老いた人と年老いている中途にある人のどちらにもやさしい町を作ることについて、複数の世代からのデータを集めることが重要だということである。

 

【要約】

高齢者にやさしい町づくりは、現状高齢者とその関係者の利益にのみ配慮しており、全世代にとって有益であるよう、若い世代からの意見をもっと取り入れるべきである。(77字)

 

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4 Comments

  1. エイジフレンドリーなまちづくりの本来の理念は全世代に配慮するものだが、高齢者の住みやすい町は全世代が住みやすい町であるため、実際は高齢者重視のものとなっている。

    1. コメントありがとうございます!

      『高齢者の住みやすい町は全世代が住みやすい町である』の部分が間違っています。

      本文に『老人にとって良いことはあらゆる人にとって良いことであるという、高齢者にやさしいコミュニティ運動でよく見られる誤った前提』とあるように、高齢者にとって住みやすい町は、(はっきり言えば)若者にとって住みにくい町である(ことが多い)というのが現実だと筆者は述べています。その事実を看過しているがゆえに、高齢者にやさしいコミュニティを促進する運動はビジョンと実践にギャップが生まれているわけです。

      ここは本文の趣旨に関わる部分であり、大幅に減点されるでしょう。僕であれば3〜4割の点数を付けます。『エイジフレンドリーなまちづくりの本来の理念は全世代に配慮するもの』という部分や『実際は高齢者重視のものとなっている』という部分は正しいのですが、一番重要な部分で読み違えている(ように見える)からです。

      ①高齢者に優しいコミュニティとは、本来高齢者だけでなく、全世代に優しくあるべきである。
      ②しかし実際は、こうした運動で配慮されるのは高齢者とその周囲だけである。
      ③高齢者と若い世代は考え方も行動も違う=高齢者に優しいコミュニティが若者にも優しいとは限らない。
      ④高齢者以外の意見も取り入れるべきだ。

      こうした流れを意識してまとめると良いでしょう。例えばあなたの解答を生かすのであれば

      『エイジフレンドリーなまちづくりの本来の理念は全世代に配慮するものだが、高齢者の住みやすい町は全世代が住みやすい町と『誤解されているため』、実際は高齢者重視のものとなっている。』

      とするだけでも、かなり良くなります。

  2. ご丁寧な説明ありがとうございます。ご指摘ごもっともと思います。実は、原文の意味が十分に読み取れておらず、時間も不足し、不十分なまま答案を書きあげてしまいました。今後につなげます。

  3. 全年齢層を考慮して、高齢者に優しい町の将来像が作られたが、実際は、高齢者向けが全世代向けにもなるという思い込みから、高齢者中心の町づくりがなされた。(74字)

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