東大過去問 2019年 第1問(要約)

/ 2月 24, 2020/ 東大過去問, 第1問(要約), 過去問/ 4 comments

【問題】

以下の英文を読み、ヨーロッパで生じたとされる変化の内容を70〜80字の日本語で要約せよ。句読点も字数に含める。

In pre-industrial Europe, child labor was a widespread phenomenon and a significant part of the economic system. Until and during the nineteenth century, children beyond six years of age were required to contribute to society according to their abilities. From about the age of seven, they began a slow entry into the world of work, a world inhabited by both adults and children. The concepts of education, schooling, and protection against hazards were rare or entirely absent. In the early nineteenth century, children were also mostly viewed as the personal property of their parents, with few or no legal rights. Parents, mainly fathers, were given unlimited power and control over them and were allowed to treat them as they wished; physical punishment was almost universal and socially accepted.
This situation began to change as the nineteenth century progressed. Particularly in the half-century from 1870 to 1920, the rights of children in relation to parents, employers, and others expanded in the form of legal protection. Gradually, children began to be perceived as a separate category and not simply as the property of adults. The view that children have no more than economic value began to change and be replaced by the perception that they are a unique group that society has the responsibility to support and protect from the various dangers they face.
Another change in this period was the protection of children from parental abuse and neglect, which were subjected to intense scrutiny and challenged increasingly by government authorities. In 1889, both France and Great Britain passed laws against cruelty to children, including that caused by their parents. The nation became the defender of children’s rights. The child’s right to protection then led to the right to provision of various sorts, with the national government responsible for providing services. Health care, acceptable housing, and play grounds — together with freedom from work and access to public schooling — emerged as elements of children’s rights.

 

【単語】

 

【和訳】

工業化前のヨーロッパでは、児童労働は一般に行われており、経済システムにおける欠かせない要素の一つであった。19世期以前は、6歳を過ぎた子供達はその能力に応じて社会に貢献することが求められていた。子供達は7歳位から、大人と子供の共生する労働の世界に、徐々に参加し始めたのである。教育・通学・危険からの保護という概念はほとんど無いか、全く無かった。19世紀初頭においては、子供達も両親の個人的な所有物と同一視され、法的な権利はほとんど、あるいは全くなかった。両親、ことに父親は、子供に対する無制限の支配権を有しており、思い通りに子供を処遇することが許されていた。体罰はほとんど全ての家庭で行われており、社会的に許容されていた。
19世紀の進展ともに、こうした状況が変わり始めた。特に1870年から1920年には、両親や雇用主などに対する子供の権利が、法的な保護という形で伸長した。子供達は大人とは独立したカテゴリーであり、単なる大人の所有物ではないのだと、徐々に認知され始めたのである。子供達には経済的な価値しかないという意識が変わり始め、子供達は大人とは異なる集団であり、社会が彼らを支援し、彼らが直面する様々な危険から保護してやるべき責任を有する集団である、という認識に取って代わられた。
この時期のもう一つの変化に、両親による虐待やニグレクトからの保護がある。そうした行為は、公的な機関による厳しい調査の対象となり、問題視されるようになっていった。1889年には、フランスとイギリスの両国で、両親によるものも含め、児童虐待を禁ずる法律が可決された。国家が子供の権利の擁護者となったのである。子供の保護される権利は、様々な援助を受ける権利へと拡張され、サービスの提供は国の責任によるものとなった。児童労働からの解放と公的な教育を受ける権利に加え、医療・最低限の住環境・遊び場が、子供の権利に数えられるようになった。

 

【要約】

工業化以前、子供は両親の所有する労働力に過ぎなかったが、19世紀の終わりには、権利を有する独自の集団であるとの認識が広がり、法を通じて保護、支援されるようになった。(80字)

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4 Comments

  1. 19世紀前半までは子供は親の所有物とされ、権利を認められていなかったが、それ以降の立法により、虐待が禁止され、教育を受ける権利などが認められるようになった。(78字)

    1. コメント、ありがとうございます。

      良い解答ですね。特に『立法により』が良いです。実際これだけ書ければ十分なのですが、せっかくなのであえて細かく指摘させて頂きます。3点です。

      ① 2段落目の『認識の変化』について触れられていないことです。『立法により』は良いのですが、その前提には『子供は大人の所有物でない、独自のカテゴリーの、保護すべき集団である』という認識が人々に広がったことがあります。『立法により』だけだと、法による決定に人々が無理矢理従わされた感じがしますが、そうではなく人々の意識の進展とともに状況が変わったということです。

      ② あなたの解答の『教育を受ける権利など』の『など』が少し気になります。というのも、最終文の『児童労働からの解放』『公的な教育を受ける権利』『医療』『最低限の住環境』『遊び場』の中から『教育を受ける権利』だけを選択して要約に含めた論理的根拠がないように感じられます。もちろんこれら全てを要約に含めることはできませんから、うまくまとめて(うまくごまかして)要約を作ることが求められます。

      ③ 『児童労働』は(特に欧米人にとって)重要な関心事であり、この文もそうした意識の下書かれているので、児童労働について軽く触れておいてもよいかと思います。

      全体の流れは問題なく、さまざまな要素も盛り込まれていますので十分合格の力があると思います。僕が採点するならば9割の点数をつけます。

      1. ご丁寧にご指摘いただき、ありがとうございます。
        本文の長さに比べ指定字数が少なく、どこを拾い上げるべきか迷う問題でした。重要な部分を見分けることと、抽象的な表現にまとめることが大切ですね。

  2. 産業化前の欧州では、児童労働は普通であったが、19世紀末には、子供に対する社会認識が変化し、子供の権利が法制化され、親の虐待防止法や社会サービスが整備された。(79字)

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