【和訳】

【難単語・難熟語】

• admittedly → （文修飾）〜なのは認めるが
• Homo sapiens → ホモ=サピエンス、現生人類
• duplicate → 複製する
• how else~? → 他にどうやって〜？、そうでなければ
• predecessor → 先祖、祖先
• live out → 最後まで生きる、生き抜く
• literally → 文字通り
• leave mark → 痕跡を残す
• narrative → 物語、語ること
• come along → （予期しないことが）やってくる
• ongoing → 継続中の、進展中の
• reference → 参考、参照
• frame → 枠組み
• frame of reference → 価値観、判断基準
• controversial → 論争を引き起こすような、賛否両論のある
• ecstatic → 非常に興奮した、恍惚とした
• mad → 非常に怒っている
• crucial → 極めて重大な、決定的な
• first-hand → 直接の
• subjective → 主観的な
• after all → （文頭で・聞き手が既に知っている事を確認して）だって〜だから
• perspective → ものの見方、観点
• distort → 歪める
• hesitancy → ためらい
• not the same as A → Aと同じではない
• the converse → 逆のこと
• interface → 接続する
• operational → 機能している
• comparable to A → Aと同等の、匹敵する
• bound up with A → Aと密接な関係にある
• intuitively → 直観的に
• generic → 一般的な
• entity → 実体、物
• perceive → 理解する、知覚する
• object → 物体、対象
• event → 出来事、事象
• unresolved → 未解決の
• conflict → 争い、対立
 

【読解・解答のポイント】

難易度★★★★And as each of our predecessors have followed their own particular narrative, so the accumulation of events has in turn acted as an ongoing frame of reference for evaluating whatever comes along next.

そして我々の先祖の一人一人が自分だけの物語を辿っていく時には、今度はその積み重ねてきた出来事が、何であれ次に起きた事を評価するための、現在進行形の判断基準として機能してきたのである。

内容が抽象的かつ、前文の内容をしっかり踏まえなければならないので、難易度高め。
narrativeとは物語のこと。つまりstoryと同義。前文のAs every single one of our predecessors have lived out their particular life story『我々の先祖の一人一人がその独自の人生を生き抜いていく時』とas each of our predecessors have followed their own particular narrative『我々の先祖の一人一人が自分だけの物語を辿っていく時』はきれいに対応している。
accumulation of events『出来事の蓄積』とは、前文のa variety of experiences『様々な経験』と対応している。
in turnは前文を受け、『今度は』といった意味。前文には『経験が脳に記憶される』とあり、この文は『その記憶された経験が、今度は次の経験に活かされる』という流れ。
ongoingは、ここでは『新たな経験によってどんどん更新されていく』といった意味。
frame of reference直訳すれば『参考の枠組み』、自分が参考にする枠組みなので、『判断基準、価値観』といった意味。
 
難易度★★After all, in mindless moments our brains still function: all senses are present if not entirely correct, as the final perspective on what is happening around you is a little distorted compared with ‘normal’. Not only that, but you can move your muscles, even if with a little less control or with greater hesitancy.

というのも、精神が異常な状態にあるときであっても、脳はまだ機能しているからである。自分の周りで起きている事に対する最終的な捉え方は『平常時』と比べるとわずかに歪められているために、完全に正確とは言えないとしても、全ての感覚は存在している。それだけでなく、たとえ普段より少しコントロールが難しく、ためらいがより強く感じられるかもしれないが、筋肉を動かすこともできる。

第1文は平易。after allの『だって〜だから』という意味は意外と知られていないかもしれない。文頭にafter allが用いられている場合はこの意味であることが多い。下線部(2)では、前文の『正気を失っているときでも意識は失われていない』に対する理由が述べられる。『結局』と訳しても、文意に大きな影響はない。
第1文。mindlessはこの段落の最初の文にあるlose their mindsを受けている。lose mind、mindlessは『正気を失う』『正気を失った』と訳しても良いが、文全体を通して見た時に、キーワードであるmindは『精神』と訳したいので、多少冗長になるが、『精神が異常な状態にある』と訳した。
第1文。as以下はall senses are presentではなく、if not entirely correct『たとえ完全に正確ではないにしても』にかかっている。これは文法的に判断するのではなく、意味から判断する。asは理由を表している。asの代表的な意味である『時、なので、ように、つれて、として』はしっかり覚えること。
第1文のas以下の節は受動態。主語はthe final perspective on what is happening around you、動詞部分はis distorted。
第1文。perspectiveは『観点』と訳すことが多いが、つまり『ものの捉え方、見方』のこと。『見方』と訳しても良いが、all senses『全ての感覚』とあるので、ここでは視覚だけでない『捉え方』という訳語を選んだ。『観点』と訳すと、意味が曖昧になるので、少し減点されるかもしれない。
第1文。コロンは補足説明。コロンの前の内容を、コロンの後でより詳しく言い直している。
第2文も平易。not only A but also Bの形が分かれば、難しいポイントがない。Aにあたるthatは前文の内容であり『正気でない時にも感覚は失われず存在している』ということを指す。
第2文後半のlessとgreaterという比較級は、than以下の比較対象がないが、『平常時と比べて』という意味。than ‘normal’を付け加えて考えてもよい。何がless controlでgreater hesitancyかというと、『筋肉を動かすこと』。『筋肉をあまり動く動かせなかったり躊躇を感じるが』、筋肉を動かすこと自体は可能という意味。
 
難易度★So while no one has ever had a problem with what and where the brain was, and with perceiving it as an obvious physical object, the very concept of ‘mental’ events has caused unresolved intellectual conflict for centuries.

それゆえに、脳がどういったもので、どこにあるかということ、そしてそれを明らかな物質的な対象としてとらえることを、誰も問題にしなかったのだが、『精神的な』事象という概念そのものは、何世紀もの間、未解決の知的論争を引き起こしてきたのである。

特に難しい所がない。この文全体を通して、京大の中でもかなり簡単な部類の問題。
whileからphysical objectまでが従属節になる。このwhileの意味は『〜だが』という意味の逆接。
with what and where the brain wasとwith perceiving it as an obvious physical objectが並列されている。perceive A as Bは『AをBとして理解する』という意味。
veryは『まさにその』という意味の形容詞。
causeは『原因となる』と訳そうとすると混乱する場合が多い。cause Aを『Aを引き起こす』と訳すと、スッキリする場合が多い。