京大過去問 2002年 第2問(英文和訳)

/ 11月 2, 2020/ 英文和訳, 京大過去問, 難易度★★, 構造が見えにくい, andの並べるもの/ 0 comments

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【問題】

次の文の下線をほどこした部分(1)~(4)を和訳せよ。

Until recently, studying music in school was regarded as a luxury. A child’s math and language skills or scientific problem solving were considered to deserve the major portion of the curriculum, while music, art, and other related subjects received only passing attention at most. Music teachers faced competing demands from extra lessons, sports practice, and play rehearsals. But with the help of science, this erosion of time devoted to music looks like being halted and even reversed.
According to one scientific study, music raises the learning capacity in so-called “hard” subjects as mathematics and physics in addition to language acquisition, and this should help restore a more balanced curriculum. (1)Researchers, in the paper on music and spatial task performance, reported that listening to as little as ten minutes of Mozart’s music produced an elevation in brain power lasting ten to fifteen minutes, a finding that triggered much of the current interest in the positive effect of music on learning.
The observation of the close relationship between music and mathematics stretches back for a couple thousand years. Pythagoras acknowledged the importance of proportion in harmony and melody. Mozart’s sudden musical development, too, shows math and music are connected. The musical genius was initially cool towards the profession that would later bring him great fame, leading a happy and not too burdened childhood, learning his lessons, whatever they were, easily and quickly. (2)Then Mozart suddenly exploded with a passion for music, filling every bit of space in the house with scribbled figures after he learned the fundamentals of arithmetic. His passion for music was closely connected to his understanding of mathematics.
Moreover, there are even recent findings that further clarify the linkage. Researchers connected the discovery to a complex theory about the way our minds are organized. (3)In essence, scientists are saying higher mental operations such as music and mathematics use a common, structured, and spatial-temporal language that allows people including children to work across seemingly unrelated academic disciplines that are tied together by this communication link.
The relationship between music and the scientific subjects or language learning is, as a matter of fact, highly controversial. There are some studies that have thrown doubt upon it. In any case, playing music and singing use a wide range of senses. Being able to integrate these and produce a satisfying synthesis is a powerful experience for children, deserving greater appreciation than has been given thus far. (4)When learning like this happens in chorus or orchestra, the total effect is even more potent. What other school activity cultivates a strong community spirit, helps us learn languages, increases our mathematical and scientific capacity, and puts us in touch with our musical heritage?
 

【和訳】

最近まで、学校で音楽を学ぶことは贅沢だと見なされていた。子供の数学と言語のスキルあるいは科学的な問題解決能力は、カリキュラムの多くを割く価値があると考えられる一方で、音楽や芸術やその他の関連教科は、微々たる注意が払われるのがせいぜいであった。音楽の教師は、補習やスポーツの練習や演劇のリハーサルとの授業時間を奪い合わねばならなかった。しかし科学のおかげで、音楽に割り当てられる時間が奪われることはなくなり、むしろ増えているようである。
ある科学的研究によると、音楽は言語の習得だけでなく、数学や物理のようないわゆる『難しい科目』の学習能力を向上させるという。このことはよりバランスのとれたカリキュラムを取り戻す助けとなるはずだ。(1)研究者は、音楽と空間処理能力に関する論文の中で、モーツァルトをたった10分聴くだけで脳の活動が向上し、その効果は10〜15分持続する、と報告した。そしてその発見は、音楽が学習に好影響を及ぼす事に対する、最近の興味の多くを引き起こしたものである。
音楽と数学の密接な関係は、数千年前まで遡って観察できる。ピタゴラスはハーモニーとメロディの調和の重要性を認めていた。モーツァルトが急激に音楽的才能を開花させたことも、数学と音楽の関連性を証明している。音楽の天才であるモーツァルトは、後々彼に多大な名声をもたらす事になる音楽家という職業に対して、当初は熱意を持っておらず、幸せで比較的気楽な子供時代を過ごしたのだが、教わった事は何であれ、苦もなくすぐに身に付けた。(2)その後モーツァルトは、算数の基礎を学んだ後、家の隅々まであらゆる所に数字を書きなぐっているうちに、突如音楽への情熱を爆発させた。彼の音楽への情熱は、数学の理解と密接に繋がっていたのである。
さらにその関連性を更にはっきりさせるような近年の発見もある。研究者はその発見を、人の知性の形成に関する複雑な理論と結びつけた。(3)科学者達が言っているのは要するに、音楽や数学といった比較的高度な精神的活動においては、共通の構造化された時間・空間的言語を使用するという事である。そしてこの言語のおかげで、子供を含めた我々は、一見無関係ながらこの言語使用の関連によって結び付けられた学問分野を、横断的にこなすことができるのである。
音楽と科学的科目あるいは音楽と言語学習の関係は、実際の所、議論の余地が大いにある。その関係を疑問視するような研究も複数ある。いずれにせよ、音楽を演奏したり歌ったりするとき、広範にわたる感覚を用いている。これらを統合し満足のいく結果を生み出すことは、子供にとって非常に有益な経験であり、これまで認められてきた以上に価値のあるものである。(4)このような学習が合唱団やオーケストラでなされる時には、総合的な効果はさらにずっと大きくなる。強い共同体精神を養い、言語学習を助け、数学的・科学的能力を増進させ、音楽的な遺産に触れることもできるような学校の活動が、音楽以外にあるだろうか?
 

【難単語・難熟語】

  • passing → つかの間の、わずかな
  • competing demands → 競合する需要
  • devote → (時間を)割く
  • should → 〜する[である]はずだ、きっと〜(する)だろう(現在・未来の事柄に対する話し手の主観的な推量・期待を表す)
  • paper → 論文
  • spatial → 空間の
  • trigger → 引き金となる、引き起こす
  • proportion → 比率、釣り合い、調和
  • scribble → 走り書きする、なぐり書きする
  • arithmetic → 算数
  • in essence → 本質的には
  • discipline → 学問分野、学科
  • controversial → 論争を引き起こすような、議論の余地のある
  • integrate → 統合する
  • synthesis → 総合、総合体
  • thus far=so far → これまで
  • potent → より強い効果がある
 

【読解・解答のポイント】

  • 文章全体を見ると読みやすいが、下線部は攻略すべきポイントがそれなりに仕込まれている。
  • 下線部(1)について。paper『論文』。spatial task performanceは直訳すれば『空間に関するタスク(を処理する)遂行能力』。つまり空間把握能力。a findingは『音楽が空間把握能力を向上させる』という論文内容のこと。a finding以降は、捕捉的に追加された同格的な文であり、that以降はfindingにかかる関係代名詞だが、and the finding triggered〜と置き換えて訳してもよい。
  • 下線部(2)について。第一文。『①音楽への情熱を爆発させた』と『②家をなぐり書きの数字で埋めた』と『③算数の基礎を学んだ』の順序を考える。afterがあるので、③→②は明らか。文脈から、算数の習得が音楽への情熱に繋がったという事なので、③→②→①の順。あるいは③→②=①(②と①が同時)とも考えられる。fillingの現在分詞は、while he was filling〜と置き換えて考えてもよい。
  • 下線部(3)について。構造が複雑でとらえにくい。まず構造の説明。commonとstructuredとspatial-temporalは3つともlanguageにかかっている。1つ目のthat以降はlanguageにかかる関係代名詞だが、長くなるので前から訳したほうがよい。1つ目のthat以降はallow A to doの形で、『Aにdoすることを許す』→『Aによってdoすることが可能になる』。2つ目のthat以降はdisciplineにかかる関係代名詞。語句の意味の説明。in essence『本質的には』『根本的には』だが、前文の『研究者はその発見を、人の知性の形成に関する複雑な理論と結びつけた』の内容を、『簡単にエッセンスだけ説明すると』という意味。higherは絶対比較級。単に『高度な』と訳しても問題ない。spatial-temporalは『空間的・時間的』。音楽も数学も時間や空間をコントロールし、ある種の均整を表現しなければならない。workはここでは『うまく処理する』ということ。across disciplinesで『様々な学問分野に渡って』。 communication 『情報伝達』、link『つなげるもの・つながり』が本来の意味。this communication は『音楽や数学に共通の時間・空間的言語を使用する』こと。
  • 下線部(4)について。(1)~(4)の中で一番得点しやすい問題。諦めずに最後まで取り組んだ生徒が報われる。ここで取りこぼすようだと合格が見えてこない。この文章全体が『音楽の効能について』だということを忘れなければ、other school activity (than music)というように、『音楽以外の科目(学校活動)に、音楽ほど素晴らしいものはあるだろうか』と読める。

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