京大過去問 1998年 第1問(英文和訳)

/ 9月 26, 2020/ even, 英文和訳, 京大過去問, 難易度★★★★, 関係詞/ 2 comments

  • 解答は下部にあります。
  • 下のリンクから問題文をPDFで印刷できます。
  • 間違いの指摘・添削依頼・質問はコメント欄にどうぞ。

【問題】

次の文の下線をほどこした部分(1)(2)を和訳せよ。

There is a familiar fairy tale sometimes called “Darwinism” that probably would have shocked Darwin. The tale says that the systems of the body are well adapted to their functions, perhaps perfectly so. What that is supposed to mean is unclear. It is no principle of biology. On some interpretations, the statement just seems false. Nothing follows about the theory of evolution, which in no way suggests that the systems that have developed should be well adapted to conditions of life. They may be the best that nature could do under the constraints within which organisms evolve, but the outcome may be far from ideal. (1)For all sorts of reasons, specific organs might turn out to be more poorly designed than is possible even within these constraints; perhaps because such design failures contribute to modifications elsewhere in the highly integrated system that improve reproductive capacity. Organs do not evolve independently, of course, and a successful organism has to hang together in complicated ways. In general, little can be said without an understanding of the physical and chemical properties of complex organisms, and if we had that understanding, it would hardly be a surprise to discover significant “design errors” in organisms that are a “biological success” (meaning, plenty of them are around).
A familiar example is the human skeleton. Few people escape back problems, because the system is poorly designed from an engineering standpoint. That may be true for large vertebrates* generally (though cows don’t know how to complain about back pains). (2)The system works well enough for reproductive success, and perhaps it is the “best solution” under the conditions of vertebrate evolution. But that’s as far as the theory of evolution reaches. In the case of language, there would be no reason to expect the system to be “well adapted to its functions,” and it seems not to be (at least, if we try to give some natural meaning to these obscure notions). The fact that large parts of language are unusable doesn’t bother us; we use the parts that are usable, hardly an interesting fact.
*vertebrates: 脊椎動物
 

【和訳】

時としてダーウィニズムと呼ばれる、ダーウィンが聞けばショックを受けたであろう、広く知られた神話がある。その神話とは、体のシステムは十分、あるいはもしかしたら完璧に、そのシステムが果たす機能に適応している、というものである。それが指す所のものは不明瞭である。それは生物学の原理などではない。ある解釈によれば、その説は完全に間違いであると思われる。その説には進化論に従う所は何もない。というのも、そもそも進化論は、進化した体のシステムは生活状況に十分に適応しているはずだとは、全く示唆していないからである。体のシステムは、生物が進化した制約下において自然がなしえた最善のものかもしれないが、その結果は理想からかけ離れているかもしれない。(1)様々な理由から、特定の器官は、こうした制約下であっても可能なものよりも、結果的に不出来なものになっている可能性がある。もしかしたらそれは、そうした構造上の欠陥が、高度に統合されたシステムの他の部分において、生殖能力を向上させるような改善に役立つからかもしれない。器官はもちろん、それぞれが独立して進化するわけではなく、繁栄する生物というのは各器官が複雑に絡みあっているものである。一般に、複雑な生物の物理的・化学的特性を理解した上でなければ、ほとんど何も言うことはできない。そして仮にそのような理解が可能であれば、『生物学的成功(つまり個体数が多いということ)』をなした生物において、重大な『構造上の欠陥』を発見したとしても、ほとんど驚くことはないだろう。
身近な例として、人間の骨格を挙げることができる。腰痛の問題をほとんどの人が抱えているが、それはそのシステムが工学的な観点から見て不出来だからである。これは大型脊椎動物全般に言えることかもしれない。(だとしても牛は腰痛について不満を訴えることはできないが)(2)人の骨格のシステムは、繁殖を成功させるという目的に対しては十分に機能する。そして脊椎動物のの進化の条件下においては、それが『最適解』だろう。しかし進化論の及ぶのはこの程度までである。言語に関して言えば、そのシステムが『機能に対して十分に適応している』と考える理由は何もないし、そして実際の所(少なくともこれらの曖昧な概念にいくらかの自然な意味を付与しようとするならば)十分に適応してはいないようである。言語の大部分が使用できないという事実は、我々を悩ませたりはしない。我々は言語の使用できる部分を使用するのであり、それは特筆すべき事実でもない。
 

【難単語・難熟語】

  • be supposed to~ 〜することになっている、〜するはずである
  • organism 生物
  • reproductive 生殖の
  • hang together うまくまとまっている、一致団結する
  • back problem 腰痛
  • as far as~ 〜という程度・場所まで
 

【読解・解答のポイント】

  • 進化論(の誤り)に関する文は頻出。とはいえ、この文は内容も文章も難易度が高い。
  • (1) 前半はevenやpoorlyにどのような訳語を当てるかに悩まされる。後半はthat improve reproductive capacityがmodificationにかかっていることが見えるかどうかが鍵。離れているがimproveとmodificationの意味上の類似性から読み解く。
  • (2)指定があるわけではないが、冒頭のthe systemが、人間の骨格のシステムを指していること意識して書く必要がある。またas far asが訳しにくい。

(Visited 934 times, 1 visits today)
Share this Post

2 Comments

  1. ⑴これら全ての理由から、特定の器官は、こうした制約下にあってもあり得るものよりも、より貧弱に設計されたものとなっているかもしれない。おそらくこれは、こうした設計上の欠陥が、高度に統合された体系の他の部分において、生産能力を向上させるような変更に寄与しているからであろう。

    ⑵このシステムは生産的な成功において十分よく機能する。そして、おそらくこれは脊椎動物の進化という条件下における”最適解”なのであろう。しかし、進化論で説明できるのはこの程度である。
    ▶︎第二文は直訳がよくわからなかったので減点覚悟で崩して訳してます。

    今回は文章自体難しく、内容が取りづらいので大変でした。

    1. ありがとうございます。この回はちょっとした現代文の文章くらい難しいですね。苦戦したとのことですが、素晴らしい和訳だと思います。

      (1) 全体としてとてもよくできています。満点で良いと思います。reproductiveは『生産』ではなく、『生殖・繁殖』の方が良いでしょう。

      (2) この答えも全体的に問題なしです。やはりreproductiveが『生産的』ではなく『生殖・繁殖』の方が良いでしょう。たとえ重大な構造上の欠陥があっても、生物の繁栄にとって最も大切な繁殖機能に問題がなければそれでよい、という文脈ですから。ここは文意に大きく影響するので、ここで1~2点の減点があるかもしれません。第二文はほとんど直訳が無理ですよね。無理やり直訳すると『しかしそれが進化論の到達できる程度の遠さである』などとなってしまいます。崩して構わないと思います。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*
*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)