気になる英語の豆知識3 〜oceanとseaの違い〜(2019年センター試験)
oceanは大洋です。具体的には5つしかありません。
- the Pacific Ocean(太平洋)
- the Atlantic Ocean(大西洋)
- the Indian Ocean(インド洋)
- the Arctic Ocean(北極海)
- the Antarctic Ocean(南極海)
*具体的な名称を指す時には、theをつけた上で、以降の各単語全てに大文字を使うことに注意してください。
*pacificは『穏やかな』という意味で、マゼランが太平洋を航海した時に名付けたものです。大西洋から太平洋に出た時にたまたま海が穏やかだったんでしょうね。太平洋を航海している間、ずっと穏やかだったとは思えないので。
*atlanticは神話の巨人のAtlasアトラスが語源です。大西洋はAtlasが作ったものだという考え方ですね。
一方、seaはoceanほど大きくない海に使います。有名なものをあげると
- the Mediterranean Sea(地中海)
- the North Sea(北海)
- the Arabian Sea(アラビア海)
- the South China Sea(南シナ海)
*Mediterraneanは難しい単語ですが、受験では頻出なので覚えねばなりません。mediはmid『真ん中』ですね。terra(テラ)は『大地』という意味なので、実はmeditteranean=地中は直訳なんですね。
またseaは大きな湖にも使います。
- the Dead Sea(死海)
- the Caspian Sea(カスピ海)
- the Black Sea(黒海)
以上が前提です。
今年のセンター試験に以下のような文が出題されました。
Shellfish were most common in the Netherlands’ (Dutch) paintings, which was anticipated as nearly half of its border touches the sea. Second, some paintings did not include foods the researchers had expected. Shellfish and fish each appeared in less than 12% of the paintings from the United States, France, and Italy although large portions of these countries border oceans or seas. (2019年センター試験第4問)
和訳はこんな感じ。
貝はオランダの絵画において最も一般的な題材である。オランダは国境の半分近くが海に面しているので、それは予想通りだった。第2に、一部の絵画には研究者が予想していたものが描かれていなかった。国境の大部分が海に面しているにも関わらず、アメリカ、フランス、イタリアの絵画においては、貝や魚がそれぞれ12%以下しか描かれていなかったのである。
さて、和訳だとどちらも『海』になっているものが、英語だとthe seaとoceans and seasになっていますね。これはどういうことでしょう。
1個目の『海』は明らかにオランダを取り巻いている1つの海のことを言っていますね。具体的には北海(the North Sea)のことです。だからthe seaとなっているわけです。
2個目の『海』はアメリカ、フランス、イタリアを取り巻く海のことですから、区分の仕方にもよりますが、太平洋・大西洋・北極海・北海・ケルト海・地中海・アドリア海・イオニア海・ティレニア海などを含んだ、複数の大洋oceanと海seaのことを指しています。この中では、太平洋・大西洋・北極海がocean、それ以外がseaですね。
そして一般的に海といえば1つの定まったものを指すのでtheという定冠詞を付けますが、このように複数の海を指す場合にはtheが欠落することもあります。結果oceans and seasと書かれているんですね。
いかがだったでしょうか。こうした些細な部分を曖昧にしておくか、完璧に理解して味わいまでも感じられるレベルであるかが、東大を受けるような生徒にとっては、大きな差になってきます。