東大過去問 1999年 第1問(要約)
【問題】
次の英文を読み、「オーラル・ヒストリー」の特徴と影響を100字〜120字の日本語に要約せよ。句読点も字数に含める。
In the second half of the twentieth century, oral history has had a significant impact upon contemporary history as practised in many countries. While interviews with members of social and political elites have expanded the range of existing documentary sources, the most distinctive contribution of oral history is that it includes within the historical record the experiences and perspectives of groups of people who might otherwise have been ‘hidden from history’. Although such people may in the past have been written about by social observers or in official documents, their own voices have only rarly been preserved — usually in the form of personal papers or pieces of autobiographical writing. Through oral history interviews, working-class men and women, and members of cultural minorities, among others have added their experiences to the historical record, and offered their own interpretations of history. Moreover, interviews have documented particular aspects of historical experience which tend to be missing from other sources, such as personal relations, domestic work or family life, and they have resonated with the subjective or personal meanings of lived experience.
Oral history has challenged the historical enterprise in other ways. Oral historians have had to develop skills required for the creation of recorded interviews, and to learn from different academic fields — including sociology, anthropology, psychology and linguistics — to better understand the narratives of memory. Most significantly, oral history is based on an active human relationship between historians and their sources, which can transform the practice of history in several ways. The narrator not only recalls the past but also asserts his or her interpretation of that past; and thus, in participatory oral history projects, the interviewee can be a historian as well as the source. Moreover, for some who practise it, oral history has gone beyond just making histories. In certain projects a primary aim has been the empowerment of individuals or social groups through the process of remembering and reinterpreting the past.
【単語】
【和訳】
20世紀の半ば以降、オーラル・ヒストリーは多くの国で実践されている現代歴史研究に甚大な影響を与えてきた。社会的・政治的要人へのインタビューが現存する書類資料の幅を広げる一方で、オーラル・ヒストリーの最も顕著な成果は、もしもオーラル・ヒストリーがなければ歴史の裏側に隠されてしまったであろう人々の経験と視点を、記録としての歴史に持ち込んだ事である。かつてそのような人々は社会的な傍観者によって、あるいは公文書の形で描かれる事はあっても、彼ら自身の声は本当に稀にしか保存されてこなかった。残されているのは普通、私的な文書か、自伝的著作である。オーラル・ヒストリーにおける労働者階級の人々と文化的マイノリティーへのインタビューを通じて、そういった人々の経験は他の人々に混じって記録としての歴史に刻まれ、彼ら自身の歴史解釈を提示しているのである。さらに言えば、他の資料からは漏れてしまうような、例えば個人的な付き合いや家事や家庭生活といった歴史的経験の特別な側面も、インタビューによって文書化されてきたのである。そしてそれらが、生活に密着した経験の主観的、つまり個人的意味と共鳴しあってきたのである。
オーラル・ヒストリーは他の方法でも、歴史における新事業にのりだしている。オーラル・ヒストリーの研究者は、記憶の物語というものをより良く理解する目的で、インタビューを記録するために必要な技術を発展させ、社会学・文化人類学・心理学・言語学などの様々な学術分野から、それを研究する必要に迫られてきた。また最も重要な事には、オーラル・ヒストリーは歴史家とその資料となる人との間の活発な人間的つながりを基盤にしているのであるが、これは歴史の慣行をいくつかの点で覆しうるものである。話者は過去を思い出すだけでなく、その過去についての自分なりの解釈を強硬に主張する。したがって、参加型であるオーラル・ヒストリーのプロジェクトにおいては、インタビューを受ける人が資料であると同時に歴史家にもなりうる。さらに言うならば、それを実践する一部の人にとっては、オーラル・ヒストリーは単なる歴史作成以上の価値を持ってきた。いくつかのプロジェクトにおいては、その主要目的は、過去を思い出して再解釈する過程を通じて、個人や社会集団に力を与える事にあったのである。
【要約】
オーラル・ヒストリーとは、政治的・社会的弱者を含むあらゆる階級の人に個人的体験にまで踏み込んで語ってもらい、資料を収集する20世紀後半以降の歴史手法である。それは他の学問や技術との連携を生み出し、語り手が自らの歴史について考える契機にもなる。(120字)
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オーラルヒストリーは文書の記録には残らなかったような無名な人々の経歴や考え方、軽微な記録でも残すことができた。また、聞き手は語り手の記憶を的確に解釈するための幅広い教養が求められ、語り手は記憶を反すうすることで解釈を付加した。(113字)
5行目のsocial observesは、social observersの誤記ではないでしょうか。
ありがとうございます!
その通りですね。訂正しました。