東大過去問 2021年 第1問(要約)

/ 4月 12, 2021/ 未分類/ 1 comments

【目次】

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【問題】

以下の英文を読み、10代の若者の気質の変化について、70~80字の日本語で要約せよ。句読点も字数に含める。
 
Consider a study of thousands of Dutch teenagers — the youngest were aged 12 at the start — who completed personality tests each year for six or seven years, beginning in 2005. The results seemed to back up some of the stereotypes we have of messy teen bedrooms and mood swings. Thankfully this negative change in personality is short-lived, with the Dutch data showing that the teenagers’ previous positive features rebound in later adolescence.
Both parents and their teenage children agree that changes occur, but surprisingly, the perceived change can depend on who is measuring, according to a 2017 study of over 2,700 German teenagers. They rated their own personalities twice, at age 11 and age 14, and their parents also rated their personalities at these times. Some revealing differences emerged: for instance, while the teenagers rated themselves as declining in ability to get along with adults, their parents saw this decline as much sharper. Also, the teens saw themselves as increasingly friendly to each other, but their parents saw them as increasingly withdrawn. “Parents, as a whole, see their children as becoming less nice,” was the researchers’ interpretation. On a more positive note, the parents saw their children’s declines in honesty as less striking than their children did.
This mismatch may seem contradictory at first, but can perhaps be explained by the big changes underway in the parent-child relationship brought on by teenagers’ growing desire for autonomy and privacy. The researchers point out that parents and teens might also be using different reference points — parents are measuring their teenagers’ features against a typical adult, while the teenagers are comparing their own features against those displayed by their peers.
This is in line with several further studies, which also reveal a pattern of a temporary reduction in advantageous features — especially niceness and self-discipline — in early adolescence. The general picture of the teenage years as a temporary personality conflict therefore seems accurate.

【単語】

  • personality test → (心理学で)性格検査
  • messy → 汚い、散らかった
  • mood swing → (突然の)気分変動
  • stereotype → 固定観念、通念
  • back up → 実証する、裏付ける
  • thankfully → (文修飾)ありがたいことに
  • rebound → 再び上昇する
  • short-lived → 短命の、一時的な
  • adolescence → 青春期(12~18歳程度を指す)
  • perceive → 知覚する
  • measure → 測定する、判断する、評価する
  • rate → 評価する
  • revealing → 明らかにする、啓発的な、意義深い
  • decline → 低下する
  • withdrawn → 内向的な、内気な、引っ込み思案の
  • as a whole → 全体として
  • nice → 礼儀正しい。ここではfriendlyやability to get along withを受けて、『他人に対して正しい態度を取る、社交的である』ことを指しているものと思われる。
  • striking → 顕著な
  • contradictory → 矛盾している
  • underway → (形容詞)進行中の
  • bring on → (よくないことを)引き起こす、もたらす
  • autonomy → 自立性、自治
  • reference point → (判断の)基準
  • peer → 同輩、友達
  • in line with A → Aと合致して
  • reduction → (reduceの名詞形)減少
  • advantageous → 有利な、好都合な
  • niceness → 第二段落のniceを受けている。nicenessの定義について、一般的な英和辞典よりもWeblioの方が参考になるかもしれない。それによると『検出するまたは、分析するのが難しい品質、素晴らしい品質、一般に容認された社会的慣習を尊重する、礼儀正しい態度』。いずれにせよ訳出するのが難しい。
  • self-discipline → 自己修養、自律性、自制すること
  • conflict → 不一致、葛藤

【和訳】

数千人のオランダのティーンエイジャーを対象とした研究について検討してみよう。彼らは最も若くて調査開始時に12歳であり、2005年から6~7年に亘り、毎年性格検査を受けた。その結果は、若者の散らかったベッドルームと彼らの気分のむらに対して、我々が持つ通年を裏付けるもののようだった。ありがたいことに、性格のこうした良くない変化は一時的なものであり、オランダのデータによれば、若者達の以前の良い性質は青春期の後半に再び現れてくる。
親とその子であるティーンエイジャーのどちらも、変化が起きることは認めているが、驚いたことに、2700人のドイツのティーンエイジャーを対象に2017年に行われた研究によれば、その感知される変化は、判断する人によって異なる可能性がある。子供達は11歳の時と14歳の時の2回、自身の性格について評価した。そして親も同時期に子の性格について評価した。そして興味深いいくつかの事実が明らかになった。例えば、ティーンエイジャーは自身について、大人とうまく付き合う能力が低下していると評価したが、その親はその低下がもっと甚だしいと見なしていた。同様に、テーンエイジャーは若者同士でより友好的になっていると感じていたが、親達は子供達がより内向的になっていると見なしていた。『親は全体的に自身の子供を社交的でなくなってきているとみなす』というのが、当時の研究者達の解釈であった。もう少しポジティブな記録によれば、親達は子供達の誠実さの低下を、子供達が自身を評価するほどには、顕著なものと見なしていなかった。
このミスマッチは一見矛盾しているように見えるかもしれないが、親子関係に進行している、大きな変化によって説明できるかもしれない。この変化はティーンエイジャーが自立とプライバシーに対する欲求を募らせることによって引き起こされるものである。研究者達が指摘する所によると、ティーンエイジャーとその親はまた、異なった基準に拠っているのかもしれない。つまり親は子供達の特徴を、典型的な大人の姿に照らして評価している一方で、ティーンエイジャーは自身の特徴を、同輩達の特徴に照らして比較しているのである。
これはいくつかの追加研究と合致しており、そうした研究でも、青春期の初期に特に社交性や自制心といった美徳が、一時的に減退するパターンが明らかになった。したがって、十代の時期を一時的な人格の葛藤ととらえる一般的な見方は、的確であるように思える。

【解答例】

10代の若者は礼儀正しさや自制心といった良い気質が一時的に失われる。若者は親から自立しつつあるので、自らの気質の変化についても、親とは違った基準で評価している。(79字)

【解説】

まずはしっかりと和訳できることが大前提です。「ざっくりと文意をつかめばよい」というような読み方は、東大受験では通用しません。テスト本番で分からない部分を想像で補うのは仕方ないにしても、基本的に全ての文を正確に(かつ速く)読む必要があります。

ですから僕は、要約(第1問)の対策を始める前に、和訳(第4問)に取り組み、おおよそ正解できるようになることを生徒に勧めています。 正確に和訳できれば、自ずとしっかりとした要約が書けるはずです。

以下、段落ごとに内容を確認していきます。

【第一段落】
① ティーンエイジャーはその前半期に良い性質が失われる→部屋を散らかしたり、気分にむらが現れるようになる。
② ティーンエイジャーの後半期に良い気質は回復する。
③ それは若者に対する通念でもあるし、実験でも裏付けられた。

【第二段落】
④ 10代における気質の変化については、本人と親のどちらも気付いているが、それに対する評価は異なる。
⑤ ティーンネージャーは、大人との付き合いが下手になり、若者同士との付き合いが上手くいっていると感じている。
⑥ 親は子供が内向的になっている(less nice / withdrawn)と感じているが、誠実さの減少については、深刻に捉えていない。

【第三段落】
⑦ 十代の気質の変化に対して、本人とその親で評価が異なるのは、親子関係の変化によるものである。
⑧ 親子関係の変化は、子が自立とプライバシーを求めることで起きる。
⑨ 親は大人の姿を基準に、子供は同輩の姿を基準にして、自身の気質を評価している。

【第四段落】
⑩ 青春期の初期に社交性や自制心といった美徳が一時的に減退する。
⑪ 十代は人格の葛藤期であるとの、一般的な見解は正しい。

 

以上、各段落をまとめた所、第一段落と第四段落はほとんど同じ内容で、結論を最初と最後に述べる、英文に良くある形を取っていることが分かる。したがって、第一段落と第四段落の内容を中心にまとめ、第二段落と第三段落は、字数の許す限り要約に含めることとする。

第一段落と第四段落の内容は

  • 青春期の初期に良い気質(第一段落positive features・第四段落advantageous features)が一時的に減退する。

であるが、『良い気質』のままでは曖昧すぎるので、少しフォローした方がよいかもしれない。

この文における良い気質・美徳とは

  • 部屋を汚さないこと・気分にムラのないこと(第一段落)
  • 大人や同輩に対して友好的であること・内向的でないこと・誠実であること(第二段落)
  • nicenessとself-discipline(第四段落)

nicenessの定義については【単語】の欄にも書いたが、『検出するまたは、分析するのが難しい品質、素晴らしい品質、一般に容認された社会的慣習を尊重する、礼儀正しい態度』。第二段落の『友好的であること・内向的でないこと』に対応している。self-disciplineは『自己を律すること』『自制心』。第一段落の『部屋を汚さないこと』『気分にムラがないこと』に近い。

以上を踏まえ、この文でいう『良い気質』は、nicenessとself-disciplineに集約されているととらえる。したがって

A. 10代の若者はその初期に礼儀正しさや自制心といった良い気質が一時的に失われる。(10代の後半に回復する)

これが解答の中心となる。

これに第二段落と第三段落の内容を追加する。

B. その変化について親と子で評価が異なる。(第二段落)

C. その評価が親子で異なるのは、子が親から自立しようとしているからである。また大人は大人を基準とし、子は同輩を基準として、気質を評価しているからである。(第三段落)

以上、A,B,Cをまとめれば良いが、字数がかなり厳しいので、苦労するだろう。

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1 Comment

  1. 親子関係の大きな変化を迎える青年期初期に、十代の若者の気質は、一時的に、彼らの性格の良さや自律性が損なわれるが、幸いなことに、青年期後期には元の性格に戻る。(78字)

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