東大過去問 1986年 第1問(要約)
【問題】
次の文を読み、その要旨を80字から100字の日本文で書け。ただし、句読点も字数に数える。
Our early ancestors had little conception of the difference between human beings and the animal creation. To them all that had life was animated by a spirit, and the form of the enclosing body made little difference. Primitive man sees nothing impossible in the story that his tribe is descended from a beast or a bird; the lady in the fairy-tale who married a bear or a snake was doing nothing particularly improbable. As knowledge advanced, these animal husbands became enchanted men who regained their true shape at last, but this is a later modification to suit later ideas. The conception of “lower animals” is a modern notion based on the gradual recognition of the essential difference between man and the other inhabitants of this world. Early man saw them as creatures endowed with special gifts and obeying their own laws; often they appeared to him not less but more intelligent than himself. Our fairy-tales, with their helpful animals, talking-birds and wise reptiles, are fossilized remains of a period when animals took equal place with man and were sometimes messengers or servants of the hidden gods. So today it may be seen that a great many of our superstitions about birds and animals are based on their supposed wisdom, cunning or magical powers rather than their inferiority in the scheme of things.
【単語】
【和訳】
我々の遠い先祖は人間と動物という創造物の間に、ほとんど違いを感じていなかった。彼らは、生きているものは全て精霊によって命を与えられていると考えていたので、容器でしかない体の形式はほとんどどうでもよかったのである。自分達の部族の祖先が獣や鳥だという話も、原始人にとってはあり得ないとは思えない。熊や蛇と結婚したという、おとぎ話に出てくる女性が特にあり得ない事をしていたとは思わないのである。知識を身に付けていくと、そうした動物の夫がついに本当の姿を取り戻して、魅力的な人間の男性になる。しかしこれは後世の考え方に合わせた後世の改変なのである。下等生物という概念は、人とこの世界の他の生息者との間の本質的な違いに少しずつ気が付いた結果の、現代的考え方である。原始人は他の動物を特別な才能を授けられて、独自の法則に従う生物だととらえていた。しばしば人はそうした動物が自分達以下どころか、自分達以上に知的であるように思えたのである。助けになる動物や話す鳥や賢い爬虫類が出てくるような私達のおとぎ話は、動物達が人と同等で、時には隠れた神々の使い・しもべであった時代の、化石化した遺物なのである。だから今日、鳥や動物達についての迷信の非常に多くは、それらがこの世の構造において劣っているというよりもむしろ賢くて、狡猾または神秘的な力を持っているという仮定に基づいているように感じられるのである。
【要約】
動物達は特別な力を持った、人間と同等か、それ以上に知的な存在だと古代人は感じていた。現代人は動物達を下等だと考えているので、古代人の感覚に基づいている伝承や迷信に違和感を覚えたり、改変を加えたりする。(100字)
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原始時代には鳥獣は優れた知恵を持つ神の使いであり、ヒトとの通婚もあり得ると考えられていた。下等動物という概念は近代になりヒトと動物が本質的に違うと考えられるようになってできたものだ。(91字)
「下等動物」という概念があらわれたのは近代に入ってからのことであり、前近代の人間は、動物を自己と同等又はそれ以上に知性あるものと見做していた。動物が登場する御伽話にはその考えの名残を見出す事ができる。(100字)