東大過去問 1977年 第1問(要約)
- コメント欄に生徒の答案と添削があります。
【問題】
次の文の大意を80字から100字の日本文で書け。ただし句読点も字数にかぞえる。
I love comedians, the highest and the lowest. I love caricatures, too. My distaste for comics, however, is complete, utter, absolute. Let me quickly admit that I am low enough, and sometimes defeated enough, as a parent, to make use of comics. I mean in desperate moments when, of a rainy Sunday morning or afternoon, I want peace in the home. Or when I am traveling with my two sons on a train and need to subdue them. Then — yes, I’ll confess it — then I do resort to comics. Without shame. Without conscience. I’ll also grant that so long as other people’s children read comics we have scant hope, and perhaps less right, to keep our own from doing so. It would be unfair for us to deny to our children what is now a group experience and, when they have grown up, will have become a group memory of their generation. For all that, I hate to see my sons absorbed by the comics. What irritates me is my awareness of what they are not reading, and could be reading. In other words, of the more genuine and deeper pleasures they could be having. I won’t and can’t deny that comic books fascinate the young. But, as a writer, I resent the way in which they get along with the poorest kind of writing. I hate their lack of both style and ethics. I hate their bad grammar and their cheap thrills. I despise them, because they have no subtlety, and certainly no beauty. Their power of attraction, I believe, lies in the fact that they make everything too easy.
【単語】
- the highest and the lowest
- caricature
- distaste
- complete, utter, absolute
- admit
- defeated
- make use of
- in desperate moments
- subdue
- confess
- resort to~
- without shame
- conscience
- grant
- so long as~
- scant
- keep A from B
- deny
- group experience
- a group memory of their generation
- for all that
- absorbed
- irritate
- awareness
- genuine
- fascinate
- resent
- get along with~
- the poorest kind of writing
- ethics
- bad grammar
- cheap thrill
- despise
- subtlety
- certainly
- the power of attraction
【和訳】
私は最上のものでも、最低のものでもコメディアンが大好きだ。私は風刺画も大好きだ。しかし、私は漫画が、完璧に、徹底的に、絶対に嫌いだ。私は親としての意思が弱く、時に漫画を利用する誘惑に負けてしまう事が確かにある。つまり、雨の日曜の朝や昼下がり、家の中に平和を求めるのが絶望的に難しい時の事である。あるいは2人の息子と電車に乗っていて、彼らを落ち着かせる必要がある時の事である。正直言うと、そんな時私は確かに漫画に頼っているのだ。恥知らずにも。良心をかなぐり捨てて。また私は、他の子供達が漫画を読んでいる限り、うちの子供達を漫画から遠ざけておく事は難しいし、おそらくその正当性も薄れてしまうことを認める。現在は集団としての経験であり、大人になってからはその世代の集団としての記憶となるはずのものを、自分達の子供に認めないとしたら、それは不公正だろう。それでもやはり、私は息子達が漫画に熱中しているのを見たくない。私が苛立つのは、子供達が読んでいないが、読める筈のものに気が付くからである。言い換えれば、それは彼らが経験しうる本物の、より深い喜びである。私は漫画が子供にとって魅力的であることを否定するつもりもないし、否定できもしない。しかし私は作家なので、漫画に最低な類いの文章が伴っているのが許せないのだ。私は漫画にはスタイルも倫理もない事が耐えられない。文法の誤りと安っぽいスリルが我慢ならない。見下げ果てたことに、奥深さがなく、美しさに至っては全くない。私が思うに、漫画の魅力は何もかも単純化している所にあるのである。
【要約】
漫画は世代共通の体験であり、読ませている間は子供が静かなので、親として許容せざるをえない。しかしやはり漫画はあまりに単純で、どうしようもなく劣悪である。子供達には漫画よりも本当に良い本を読んで欲しい。(100字)
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笑劇や物まねは好きだが、漫画は大嫌いだ。確かに漫画は面白く、子供を夢中にさせるが、余りに安直で、読書から得られる文章としての完成度、美や倫理、繊細さは得られない。だから自分の子供には読ませたくない。(99字)
いつもありがとうございます。
読んでいて、なるほどとこういう書き方も良いな、と感じました。当サイトは前半部で、漫画を許容することについて字数を割いた分、『本の完成度、美や倫理、繊細さ』という、本の良さ(つまり漫画の劣悪さ)について詳しく触れられていません。その点、Hiroakiさんの解答が優れているな、と感じました。
冒頭の『漫画は大嫌いだ』というのは、はっきりしていてよいのですが、『笑劇や物まねは好きだが』はいらないでしょう。その分、「嫌いだけど子供に読ませてしまっている現実」について軽く触れた方が良いかもしれません。その点、どう評価されるか分かりませんが、私としては明快で知性の感じられる要約だと思いますので、満点を付けたいです。
ご講評ありがとうございます。
ご指摘にあった「現状では読ませてしまっている」旨を織り込んだ答案を作ってみました。もちろん、こんな答案は試験本番では書き上げられないでしょうから、現実的ではなく、趣味の追求のようなものかもしれませんが。
漫画は、確かに面白いので、現状は我が子が夢中で読むに任せてはいるが、実際は余りに安直で、読書から得られる文章としての完成度、美や倫理、繊細さを欠くので、私は嫌いだし、本当は子供にも読ませたくない。(98字)
著者は漫画を面白いとは思っておらず、子どもたちの世代にとっては面白いのだろうと考えているに過ぎないですから、「確かに面白いので」という部分は、作者目線の本文から考えると、少々不適切なのかなと感じます。突然のコメント失礼しました。今年東大受験を控える高3です。一緒に勉強頑張りましょう。