東大過去問 1973年 第1問(要約)

/ 12月 5, 2019/ 第1問(要約), 東大過去問, 難易度★★★★, 過去問/ 8 comments

【目次】

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【問題】

以下の文に述べられていることの大要を、60〜80字の範囲の日本文でしるせ。ただし句読点も字数に数える。

And it was an odd thing that whenever one of the employees was in trouble or needed advice, of all the people working in the place on whom he or she could have unburdened themselves it was invariably Robert who was singled out. Perhaps the secret lay in his ability to listen with his complete attention, as though your trouble was actually his, and the most important thing in the world at that very moment was for him to help you in your struggle against it.

 

【単語】

  • odd thing 奇妙な事
  • employee 従業員
  • be in trouble 困っている
  • unburden 重荷を下ろす(burden:重荷)
  • invariably 変わる事なく(variable:可変の)
  • single out 一つ選び出す
  • listen with one’s complete attention 完璧な注意を払って話を聞く
  • as though~ (=as if~)まるで〜であるかのように
  • at that very moment まさにその瞬間に
  • struggle against A Aに対して奮闘する

 

【和訳】

労働者の中の誰かが問題を抱えてアドバイスが必要になった時、その場所で働いている誰に気持ちを打ち明けてもいいはずなのに、いつもロバートがその役に選ばれるのは不思議なことだった。おそらくこの上ない集中力で話を聞く彼の能力にその秘密があったのだろう。彼はその問題が実際に自分自身のものであるかのように、そしてその問題に苦闘する相手を助けることがその時世界中で一番大切なことであるかのように、聞くことができたのだ。

 

【解答例】

ロバートは素晴らしく聞き上手だったので、そこで働く人々が問題を抱えてアドバイスが必要になった時、誰もがロバートに相談した。(61字)

 

【解説】

英文自体がかなり読みにくいものになっています。とくに1分目は従属節が込み入っているので、それを整理して読む能力が試されています。2文目も少々読みにくいので、『なんとなく文意を捉えればよい』というスタンスで、正確に読む訓練を怠っている生徒には、全く読めないでしょう。

【要約のポイント⓪】英文を正確に和訳できることが大前提である

 

このポイントがよく分かる問題ですね。要約問題なのに2文しかなく、論理展開のようなものもほとんどありません。 正確に和訳できるかどうかが問われている問題です。もちろん普段英語を読むときに、全て和訳する必要はありませんが、「和訳してください」と言われて「意味は分かっているんだけど和訳はできません」というのは通用しません

正確に和訳できないということは理解していないと言う事

 

「意味は分かっているんだけど和訳はできません」という生徒の大部分は、単語の意味や文脈から文意を予想しているだけで、文構造を正確に理解できていないという状態です。自分が理解していないと自覚できるようになってください。

では、実際に1文目を正確に読んでみましょう。

このような込み入った構造が頭の中で整理できているでしょうか?英語ができる人間というのは、前から一読した時に、一瞬でしかもほとんど無意識に、このように構造化して読めているんですよ。

最初は『こんな風に読めるわけない』と思うかもしれません。僕もそうでした。しかし意識して正確に構造を捉える努力を続けることで、いつのまにか自然に読めるようになります。

繰り返しになりますが、適当に読まないこと! 東大は学問をするところです。「何となく全体の意味を捉える」ような生徒は必要ありません。世界中の学術論文というのは英語で書かれています。適当に読む癖をつけた生徒が、適当に論文を読み、適当に論文を書くのでしょうか。そんな生徒が研究者になって、危険な機器を操作したり、大企業で製品を開発したり、法律を書いたりするのでしょうか。

『パラグラフリーディング』や『速読』(速いにこしたことはありませんが)などの浅薄な謳い文句に救いを求めたり、小手先のテクニックで(英文が読めていないのに)正解を拾おうとする勉強をしていては、東大には受かりませんよ。

【生徒の答案】

困っていたり助言が欲しい従業員は、決まってロバートに相談したが、それはロバートが注意深く他人の話を聞き、その困難を彼自身のものであるかのように思う能力に理由がある。(82字)

【生徒の答案の採点と添削】

まず字数がオーバーしてしまっています。1972年の答案を送ってくれた生徒も字数を守れていませんでしたが、やはり0点です。

内容は当サイトの【解答例】のものよりも良いかもしれません。当サイトでは「聞き上手」でまとめてしまっている内容を、詳しく説明していますね。「注意深く聞く」「我が事のように聞く」という部分です。 丁寧な良い要約だと思います。

結論→理由の順でまとめていますが、順序を逆にすれば、少し字数を圧縮できそうですね。

『ロバートは注意深く、しかも相手の身になって他人の話を聞いたので、困っていたり助言が欲しい従業員は、決まってロバートに相談した。』(73字)などとしてはいかがでしょうか。

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8 Comments

  1. 社内で困り事があったとき助けを求める相手が必ずロバートなのは、それがまるで自分の困り事で相手を助けることが世界の最重要事であるかのように真剣に耳を傾けるからだ。(80字)

    1. 添削が遅くなり申し訳ないです。受験が迫って多忙にしていました。

      いつもながらとても良くできた解答です。かなり読みにくい文だと思いますが、しっかり和訳できたということでしょう。

      減点ポイントは解答が現在形で書かれているからです。本文は過去形で書かれ、現在の状況について触れられていません。基本的に『回想』であり、その職場にはもう行っていないのかもしれませんし、ロバートはもう亡くなっているのかもしれません。そもそもこれは物語かもしれません。

      厳しいかもしれませんが、僕であれば8点を付けます。

  2. 確かに時制は過去ですね。うっかりミスでした。いつもながら、ご教示ありがとうございます。

  3. 言い忘れました。大変お忙しいところありがとうございました。

  4. 職場で誰かが助けを必要とした時に助けるのは決まってロバートだった。これは、彼が話を聞く集中力に優れ、人を助けるのを何より優先することに起因するのかもしれない。

  5. 不思議なことに、悩みを抱き、助言が必要だという従業員は毎度ロバートの元へ助言を求めるが、それは彼が相手に心を通わせるほど聞き上手だからであろう。72

  6. 従業員の一人が困ったり助言を要するときは決まってロバートが選ばれるが、理由は彼が親身になって自分事のように現在起こっている重大な困難に立ち向かう姿勢にある。
    (78文字)

    初投稿です。
    海外経験があっていつも東大模試等では80~90点くらいなのですが、ようやくが大幅減点されていることが多々あるのでこちらのサイトで練習できればと思っています。
    よろしくお願いします。

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