京大過去問 2022年 第2問(英文和訳)

/ 8月 28, 2022/ 単語の意味を想像する, 第2問(和訳), 比喩, 英文和訳, 難易度★★, 難易度★★★, 動詞の名詞化を解除, 前置詞+関係代名詞, 前から訳し下す, 入れ子構造, andの並べるもの/ 0 comments

【目次】

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【問題】

次の文章を読み、下の設問(1)~(3)に答えなさい。(50点)
 
In examining the history of libraries and the way their collections have evolved over time we are, in many ways, telling the story of the survival of knowledge itself. Every individual book that exists now in these institutions, all the collections that together build up into larger bodies of knowledge, are survivors.
Until the advent of digital information, libraries and archives had well-developed strategies for preserving their collections: paper. The institutions shared the responsibility with their readers. All new users of the Bodleian Library at Oxford University, for example, are still required to formally swear “not to bring into the Library, or kindle therein, any fire or flame,” as they have done for over four hundred years. Stable levels of temperature and relative humidity, avoidance of flood and fire, and well-organized shelving were at the heart of preservation strategies. Digital information is inherently less stable and requires a much more proactive approach, not just to the technology itself (such as file formats, operating systems and software). (a)This instability has been amplified by the widespread adoption of online services provided by major technology companies, especially those in the world of social media, for whom preservation of knowledge is a purely commercial consideration.
As more and more of the world’s memory is placed online we are effectively outsourcing that memory to the major technology companies that now control the internet. The phrase “Look it up” used to mean searching in the index of a printed book, or going to the right alphabetical entry in an encyclopedia or dictionary. Now it just means typing a word, term or question into a search box, and letting the computer do the rest. Society used to value the training of personal memory, even devising sophisticated exercises for improving the act of memorizing. Those days are gone. There are dangers in the convenience of the internet, however, as the control exercised by the major technology companies over our digital memory is huge. Some organizations, including libraries and archives, are now trying hard to take back control through independently preserving websites, blog posts, social media, even email and other personal digital collections.
(b)”We are drowning in information, but are starved of knowledge,” John Naisbitt pointed out as early as 1982 in his book Megatrends. A concept of “digital abundance” has since been coined to help understand one important aspect of the digital world, one which my daily life as a librarian brings me to consider often. The amount of digital information available to any user with a computer and an internet connection is overwhelmingly large, too large to be able to comprehend. Librarians and archivists are now deeply concerned with how to search effectively across the mass of available knowledge.
The digital world is full of contradictions. On the one hand the creation of knowledge has never been easier, nor has it been easier to copy texts, images and other forms of information. Storage of digital information on a vast scale is now not only possible but surprisingly inexpensive. Yet storage is not the same thing as preservation. The knowledge stored online is at risk of being lost, as digital information is surprisingly vulnerable to neglect as well as deliberate destruction. (c)There is also the problem that the knowledge we create through our daily online interactions is invisible to most of us, but it can be manipulated and used against society for commercial and political gain. Having it destroyed may be a desirable short-term outcome for many people worried about invasions of privacy but this might ultimately be to the detriment of society.

(1) 下線部(a)を和訳しなさい。

(2) 下線部(b)を和訳したうえで、具体的にどんなことを指しているかを、本文に即して説明しなさい。

(3) 下線部(c)を和訳しなさい。

【単語】

  • examine → 調べる
  • evolve → 進化する、発展する
  • over time → 時が経つにつれ
  • individual → それぞれの
  • institution → 施設(ここでは図書館のこと)
  • build up → 構築する
  • body → 集まったもの、総体
  • advent → 出現
  • archive → 古文書、古文書保管所、文書保管所、書庫
  • well-developed → よく発達した
  • strategy → 戦略、方策
  • preserve → 保存する、保護する
  • Bodleian Library → ボドリアン図書館(英国オックスフォード大学の伝統ある図書館)
  • kindle → 火をつける(bringは外から火を持ち込むのに対し、kindleは館内で火をおこすことを指している)、Amazonの読書サービスがkindleと名付けられているのは象徴的。
  • therein → それに、そこに
  • swear → 誓う
  • stable → 安定した
  • temperature → 温度
  • relative humidity → 相対湿度(%で表される普通の湿度のこと)
  • flood → 洪水
  • well-organized → うまく整理された、効率の良い、ここでは本棚の分類・配置が適切であること
  • shelving → (集合的に)棚、棚に入れること
  • heart → 最重要点、核心
  • inherently → 本質的に、そもそも
  • proactive → (形容詞)先のことを考えた、事前に対策を講じる必要のある、積極的な
  • file format → ファイルフォーマット、画像・動画・テキストなどの各種ファイルを保存するための形式のこと
  • operating system → OS、オペレーティングシステム、ユーザーがコンピューターを動かすための一番の基礎となるソフトウェア。
  • software → コンピューターに組み込まれた各プログラム。
  • instability → (<stable安定した)不安定性
  • amplify → 増幅する、強める
  • widespread → 広く行き渡っている、普及している
  • adoption → (<adopt採用する)採用
  • major technology companies → 2022年現在の例で言えばMGAFA(Microsoft、google、Amazon、Facebook(Meta)、Apple)などのこと。
  • purely → あくまでも、単に
  • commercial → 営利的な、利益優先の
  • consideration → 考慮
  • outsourcing → 外部委託
  • look up → 検索する、調べる
  • used to~ → (今とは違い)以前は〜したものだった
  • alphabetical → アルファベット順の
  • entry → 見出し(辞書の項目を示すために太字で示されている語のこと)
  • encyclopedia → 百科事典
  • term → 専門用語
  • search box → 検索語入力欄、検索ボックス
  • rest → 残り
  • value → 評価する、尊重する、重んじる
  • devise → 考案する
  • sophisticated → 高度な、洗練された
  • improve → (技能などを)上達させる
  • control → 支配(権)、管理(する力)
  • take back → 取り返す
  • independently → 独自に、独立して
  • preserve → 保存する、保護する
  • drown → 溺れる、溺死する(過去分詞のような形だがdrownで動詞の原形)
  • starve → 飢える、渇望する
  • as early as~ → 〜もの早い時期に
  • abundance → 大量、豊富
  • coin → (新語など)を作る
  • available → 利用可能な
  • overwhelmingly → 圧倒的に
  • be concerned with~ → 〜に関心を持つ、関わる
  • mass → (はっきりとした形のない)大量のもの
  • comprehend → 理解する、把握する
  • librarian → 図書館員、司書
  • archivist → 古文書や公文書の保管係
  • contradiction → 矛盾
  • on the one hand → 一方では
  • storage → 保存、保管、記憶
  • scale → 規模
  • surprisingly → 驚くほど、意外に
  • preservation → 保存、保全、維持(本文では単に保存するだけのstorageに対して、preservationは安全かつ有用に提供できる形で情報を保つこと)
  • vulnerable to A → Aに対して脆弱である、脆い
  • neglect → 放置、無視
  • deliberate → 故意の、計画的な、慎重な
  • destruction → 破壊
  • invisible → 見えない、表面に現れない
  • interaction → 交流、やりとり、相互作用
  • manipulate → (非難して)操作する、改竄する
  • gain → 利益、進歩
  • desirable → 望ましい、好ましい
  • short-term → 短期間の
  • outcome → 結果、結論
  • worried about~ → 〜を心配して
  • invasion → (権利の)侵害
  • ultimately → 究極的に、結局は、最終的に
  • detriment → 損失

【和訳】

図書館の歴史と、その蔵書が時と共にいかにして発展してきたかを研究することは、様々な観点から、知識そのものの生存についてのストーリーを理解することである。こうした施設に現存する個々の書物の全て、つまりより大きな知識の総体を構築する全コレクションが、生存物である。
デジタル情報の出現以前は、図書館と書庫は、そのコレクションを保存するための高度に発展した方策であった。つまり紙による保存である。施設はその責任を読者と共有した。例えばオックスフォード大学のボドリアン図書館の初回利用者は全員、『いかなる火も炎も、館内に持ち込んだり焚いたりしない』と公式に誓うことを、400年以上にわたりそうであったのと同様に、現在でも求められる。安定した室温と湿度に保つこと、洪水と火事を避けること、そして本棚を適切に配置することが、保存方策の骨子であった。デジタル情報は本質的に不安定であるので、より先見的で積極的なアプローチが求められる。それはファイルフォーマットやOSやソフトウェアといった技術そのものに対してだけではない。(a)こうした不安定性は、巨大テクノロジー企業、とりわけソーシャルメディア分野の企業によって提供されるオンラインサービスが広く採用されることによって悪化している。そうした企業にとって、知識の保存はあくまでも営利上の問題でしかないからである。
世界の記憶が益々多くオンライン上に配置されるようになるにつれて、我々はそうした記憶を、今やインターネットを牛耳っている巨大テクノロジー企業に、効率的にアウトソーシングするようになってきている。『検索する』という言葉はかつて、印刷された本の索引を調べたり、百科事典や辞書においてアルファベット順の正しい項目へ至る事を意味していた。今やそれは、ある言葉・用語・質問を検索ボックス内に入力し、残りはコンピューターに任せることを意味するだけである。社会はかつて個人記憶のトレーニングを重んじ、暗記を上達させるための高度な訓練を考案することさえあった。そうした日々は過去のものとなった。しかしインターネットの便利さには危険が潜む。巨大テクノロジー企業が実践する我々のデジタル記憶に対する権限が大きすぎるからである。図書館や書庫を含む一部の組織は、ウェブサイト・ブログ投稿・ソーシャルメディア、そしてEメールや個人的なデジタル資料に至るまでを独自に保存することを通して、主導権を取り戻そうと現在躍起になっている。
(b)『我々は情報の海で溺れているにも関わらず、知識に飢えている』と、ジョン・ネイスビッツはその著書『メガトレンド』の中で、1982年に既に指摘している。以来、『デジタル飽和』という概念が生み出され、デジタル世界の重要な側面が理解されるようになった。それは図書館員としての日々の生活の中で、私がしばしば考えることでもある。コンピューターとインターネット接続を使って誰にでも利用できるデジタル情報は圧倒的に多量であり、その量を把握しきれないほどである。図書館員やアーキビスト(文書保管係)は今、そうした利用可能な大量の知識を横断していかに効率的に検索するか、ということに大きな関心を寄せている。
デジタル世界は矛盾に満ちている。一方では、知識の創造はこれまでになく容易であり、テキスト・画像・その他の形式の情報のコピーも容易である。莫大なデジタル情報の保存は、今や可能なだけでなく、驚くほど安価になっている。しかし『storage(保存)』は、『preservation(保全)』と同じ意味を持つわけではない。デジタル情報は、意図的に破壊されることに対してだけでなく、誰の注目も集めないという事態に対して驚くほど脆弱なため、オンラインで保存された知識は失われる危険を孕んでいる。(c)オンラインでの日常的やり取りで我々が生み出す情報は、ほとんどの人にとって見えないものであるにもかかわらず、商業的政治的利益の為に、反社会的な形で、操作され利用される可能性がある、という問題もある。プライバシーの侵害を懸念する多くの人々にとっては、そうした情報を消去する事が短期的に望ましい結果をもたらすかもしれないが、最終的には社会にとっての損失となる可能性がある。

【解答例】

(1) こうした不安定性は、巨大テクノロジー企業、とりわけソーシャルメディア分野の企業によって提供されるオンラインサービスが広く採用されることによって悪化している。そうした企業にとって、知識の保存はあくまでも営利上の問題でしかないからである。

(2) 『我々は情報の海で溺れているにも関わらず、知識に飢えている』とは、コンピューターとインターネット接続により膨大なデジタル情報に誰もがアクセスできるようになったが、それを横断的・効率的に検索して、有用な知識として活用することが出来ていない現代の状況を指している。

(3) オンラインでの日常的やり取りで我々が生み出す情報は、ほとんどの人にとって見えないものであるにもかかわらず、商業的政治的利益の為に、反社会的な形で、操作され利用される可能性がある、という問題もある。プライバシーの侵害を懸念する多くの人々にとっては、そうした情報を消去する事が短期的に望ましい結果をもたらすかもしれないが、最終的には社会にとっての損失となる可能性がある。

【解説】

*まずはしっかりと和訳できることが大前提です。「ざっくりと文意をつかめばよい」というような読み方は、京大受験では通用しません。テスト本番で分からない部分を想像で補うのは仕方ないにしても、基本的に全ての文を正確に(かつ速く)読む必要があります。

(1) 難易度★★ This instability has been amplified by the widespread adoption of online services provided by major technology companies, especially those in the world of social media, for whom preservation of knowledge is a purely commercial consideration.

『こうした不安定性は、巨大テクノロジー企業、とりわけソーシャルメディア分野の企業によって提供されるオンラインサービスが広く採用されることによって悪化している。そうした企業にとって、知識の保存はあくまでも営利上の問題でしかないからである。』






(2) 難易度★★ ”We are drowning in information, but are starved of knowledge,”

『我々は情報の海で溺れているにも関わらず、知識に飢えている』とは、コンピューターとインターネット接続により膨大なデジタル情報に誰もがアクセスできるようになったが、それを横断的・効率的に検索して、有用な知識として活用することが出来ていない現代の状況を指している。






(3) 難易度★★★ There is also the problem that the knowledge we create through our daily online interactions is invisible to most of us, but it can be manipulated and used against society for commercial and political gain. Having it destroyed may be a desirable short-term outcome for many people worried about invasions of privacy but this might ultimately be to the detriment of society.

『オンラインでの日常的やり取りで我々が生み出す情報は、ほとんどの人にとって見えないものであるにもかかわらず、商業的政治的利益の為に、反社会的な形で、操作され利用される可能性がある、という問題もある。プライバシーの侵害を懸念する多くの人々にとっては、そうした情報を消去する事が短期的に望ましい結果をもたらすかもしれないが、最終的には社会にとっての損失となる可能性がある。』






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