東大過去問 2022年 第5問(総合)

/ 4月 15, 2022/ 第5問(総合), 東大過去問, 難易度★★★★, 過去問/ 0 comments

【問題】

以下の英文を読み、(A)~(D)の問いに答えよ。

I am eight years old, sitting in my childhood kitchen, ready to watch one of the home videos my father has made. The videotape still exists somewhere, so somewhere she still is, that girl on the screen: hair that tangles, freckles across her nose that in time will spread across one side of her forehead. A body that can throw a baseball the way her father has shown her. A body in which bones and hormones lie in wait, ready to bloom into the wide hips her mother has given her. A body that has scars: the scars over her lungs and heart from the scalpel that saved her when she was a baby, the invisible scars left by a man who touched her when she was young. A body is a record or a body is freedom or a body is a battleground. Already, at eight, she knows it to be all three.
But somebody has slipped. The school is putting on the musical South Pacific, and there are not enough roles for the girls, and she is as tall as or taller than the boys, and so they have done (A)what is unthinkable in this typical 1980s American town, in this place where the men do the driving and the women make their mouths into perfect Os to apply lipstick in the rearview mirror. For the musical, they have made her a boy.
No, she thinks. They have allowed her to be a boy.
What I remember is feeling my face (ア26) as my father loads the tape into the player. Usually I (ア27) watching videos of myself. Usually there is this stranger on the screen, this girl with her pastel-colored clothing, and I am supposed to pretend that she is me. And she is, I know she is, but also she isn’t. In the third grade I’ll be asked to draw a self-portrait in art class, and for years into the future, when I try to understand when this feeling began — this feeling of not having words to explain what my body is, to explain who I am — I’ll remember my (ア28) as I placed my drawing next to my classmates’. They’d drawn stick figures with round heads and blond curls or crew cuts; they’d drawn their families and their dogs and the bright yellow spikes of a sun. One had drawn long hair and the triangle shape of a dress, and another short hair and jeans. ( B ) so easily?
I had drawn a swirl.
Now, in the kitchen, what I notice is that my brothers and sisters are feeling embarrassed in their seats, asking if they can leave — and that I, somehow, am not. I am sitting perfectly still. Is it possible that I want to see this video? The feeling is peculiar. I have not yet known the (ア29) of taking something intimately mine and watching the world respond. Someday, I will be a writer. Someday, I will (ア30) this feeling. But at eight years old, my private world both pains and sustains me, and sharing it is new.
My mother makes my brothers and sisters quiet and passes popcorn around the table. My father takes his spot at the head. Onscreen, the auditorium of an elementary school appears. At the corner of the stage, there are painted palm trees on the board.
Then the curtains part, and there I am. My hair brushed back, my ponytail pinned away, a white sailor’s cap perched on my head. Without the hair, my face looks different: angular, fine-boned. I am wearing a plain white T-shirt tucked into blue jeans, all the frill and fluff of my normal clothing stripped away — and with it, somehow, so much else. All my life, I have felt awkward — wrong-sized and wrong-shaped.
But look. On the screen. (C)There is only ease.
I don’t know whether the silence I remember spread through the kitchen or only through me. My mother is the first to speak. “You make a good-looking boy!” she says.
I feel the words I’m not brave enough to say. I know.
Soon after, I began to ignore the long hair that marked me so firmly as a girl, leaving it in the same ponytail for days on end, until it knotted into a solid, dark mass. All my friends were boys, and my dearest hours were spent playing Teenage Mutant Ninja Turtles on the lawn with my twin brother and the neighbor boy. My room was blue, and my teddy bear was blue, and the turtle I wanted to be was Leonardo, not only because he was smart but because his color was blue. When my twin brother got something I didn’t — to go to the baseball game, though we were all fans; to camp with the Boy Scouts while my sisters and I were taken to the (イ); to keep the adult magazines I discovered in his bedroom — and the reason given was that he was a boy, (ア31) choked me with tears. That was grief, I think now, the grief of being misunderstood.
One afternoon, when my brother yet again went shirtless for a game of catch and I wasn’t allowed to, I announced to my father that I didn’t want to be a girl, not if being a girl meant I had to wear a shirt. My father went to get my mother. They whispered together, then my mother explained that I should be happy to be a girl — there were so many good things about it. I knew there were; that wasn’t the problem. The problem was that people kept calling me one. I remember realizing I couldn’t explain this to her.
Back then, in 1985, the word genderqueer how I now identify, the language that would eventually help me see myself — hadn’t yet been invented.
注)freckles:そばかす、scalpel:(外科手術用の)メス、rearview mirror:車のバックミラー、stick figure:手足を線で描くなど、簡略化された人物画、crew cut:毛を短く刈る髪型、swirl:渦巻き、auditorium:講堂、angular:骨張った、やせこけた、still and fluff:フリルや飾り、Teenage Mutant Ninja Turtles:1980年代から米国で人気のある同名のコミックやアニメ、映画に登場するスーパーヒーローの集団

【問題】

(A) 下線部(A)が指している内容を示したうえで、それがなぜ”unthinkable”なのかを説明せよ。

(B) 下に与えられた語を正しい順に並び替え、下線部(B)を埋めるのに最も適切な表現を完成させよ。本文では大文字で始まる語も小文字にしている。
had, how, known, like, looked, they, they, what

(C) 下線部(C)について、誰がどのように感じたかを、その理由も含めて説明せよ。

(D) 以下の問いに解答し、その答えとなる記号をマークシートにマークせよ。

(ア)空所アの(26)~(31)には単語が一語ずつ入る。それぞれに文脈上最も適切な語を次のうちから一つずつ選び、マークシートの(26)~(31)にその記号をマークせよ。ただし、同じ記号を複数回用いてはならない。
a) flush
b) hate
c) love
d) pleasure
e) rage
f) shock

(イ)空所イに入れるのに最も適切な語を次のうちから一つ選び、マークシートの(32)にその記号をマークせよ。
a) ballet
b) football game
c) hospital
d) shopping

(ウ)本文の内容と合致するものはどれか。最も適切なものを一つ選び、マークシートの(33)にその記号をマークせよ。なお、以下の選択肢においてtheyおよびtheirは三人称単数を示す代名詞である。
a) The author did not like their body.
b) The author had to play with boys because there were only boys in their family and neighborhood.
c) The author played a male role in the musical in elementary school.
d) The author thought there was nothing good about being a girl.
e) The author was happy to be a girl when they were in elementary school.

【和訳】

私は8歳で、子供時代に過ごしたキッチンに座って、父が作成したホームビデオを見ようとしている。そのビデオテープはまだどこかにあるはずだ。だから画面の中のあの少女、髪はボサボサで鼻の周りにはそばかすがある(それはやがて額の片側に広がるはずだ)少女も、まだどこかにいる。父親がやって見せたように野球のボールを投げることができる体。骨とホルモンが身を潜めて、母親譲りの大きなお尻として開花しようと準備している体。傷のある体。赤子の頃、彼女の命を救ったメスによって付けられた肺から心臓にかけての傷。そして彼女が幼い頃、ある男に触られることで残された目に見えない傷。体は記録であり、体は自由であり、体は戦場である。8歳にして既に彼女は、体がその3者全てであることを知っている。
しかし何かが食い違っている。学校はミュージカル『南太平洋』を上演する予定だが、女子に与える役が不足している。彼女の身長は男子と同じかそれ以上なので、(A)この典型的な1980年代のアメリカの町(男性が運転をし、女性は口紅を塗るためにバックミラーに向かって口をまん丸に開いているような土地柄)では考えられないような決定がなされた。つまり彼女はそのミュージカルで男の子役をすることになったのだ。
いや違う、と彼女は考える。彼女は男の子になることを『許可された』のだ。
私が覚えているのは、父がテープをプレイヤーにセットする時に、自分の顔が赤くなることである。たいていの場合、私は自分のビデオを見るのは好きではない。たいていの場合、画面に映るのはこの奇妙な人物、パステルカラーの服を着たこの女の子であり、私はそれが自分であるという演技を義務付けられているからだ。そして彼女は私である。私はそれを分かっている。しかし私は、彼女が私でないということも知っている。3年生になれば、私は美術の時間に自画像を描くように求められるだろう。そしてその後数年にわたって、いつこの感覚(私の体とは何なのか、私は誰なのかを説明しようとすると、言葉に詰まってしまうような感覚)が現れたのかを自問する時に、その自画像をクラスメイト達の作品の隣に置いた時に受けた衝撃を、私は思い出すことになるだろう。彼らは棒の体に丸い頭、金髪の巻毛かクルーカットの人物を描いていた。そして家族と犬、トゲの突き出した黄色い太陽を描いていた。長い髪の毛とドレスの三角形を描く子もいれば、短髪にジーンズを描く子もいた。(B)彼らはいかにして、自分がどのように見えるのかを、それほど容易に知ることができたのだろうか。
私は渦巻きを描いたのだった。
今、キッチンにいる。私は兄弟達が気まずい思いで座っており、出て行ってよいか尋ねているのに気が付く。そして私は、どういうわけか、いたたまれない感覚がない。私はじっと座っている。私がこのビデオを見たいなどということがあり得るだろうか。奇妙な感覚だ。自身の奥底にあるものを提示して、世界の反応を見るという楽しみを、私はそれまで知らなかった。いつの日か私は作家になるだろう。いつの日か私はこの感覚を愛するようになるだろう。しかし8歳当時、私の内密な世界は、私を苦しめると同時に、私を支えており、それを開示するのは初めてである。
母は兄弟達を黙らせ、ポップコーンを行き渡らせた。父はいつもの上座に座る。画面には小学校の講堂が映る。ステージの端には板に描いた椰子の木が置かれている。
そして幕が開き、そこに私がいる。私の髪は後ろにとかし付けられ、ポニーテイルはピンで止められ見えず、白い船乗りの帽子が頭に乗せられている。髪が見えないと、私の顔の印象が変わる。骨張って華奢に見える。私は無地の白いTシャツの裾をブルージーンズに入れて着ている。私のいつもの服に付いているようなヒラヒラやフワフワは全て剥ぎ取られている。それによって、どういうわけか、他のものも取り去られたようだ。これまでずっと私は違和感を抱いて過ごしてきた。つまりサイズも形も間違っているような感覚である。
だが、見てほしい。画面を。(C)安らぎだけがそこにある。
私の記憶している静けさが、キッチン全体に広がったのか、それとも私だけのものであったのか、分からない。母が最初に口を開く。『ハンサムな男の子に化けたわね』と彼女は言う。
私は口に出す勇気はないけれど、それは当然だよ、と感じる。
その後私は、少女としての私をあれほど強固に特徴付けていたロングヘアーを無視し始めた。何日も結んだままにしたポニーテイルが絡まり、硬く黒い塊になるまで放っておいた。私の友達はみんな男の子だったし、私が一番好きだったのは、私の双子の弟と近所の男の子と一緒に、芝地で『ミュータント・タートルズ』ごっこをして過ごす時間だった。私の部屋は青で、私のテディ・ベアも青だった。私がなりたかったミュータント・タートルズのキャラクターはレオナルドだったが、それは彼が格好良かったというだけでなく、キャラクターの色が青だったからだ。双子の弟が何かする時、私はそれをすることが出来なかった。弟が野球の試合を観に行く時。私達は2人ともファンだったのに。弟がボーイスカウトのキャンプに行く時。私と姉妹達はバレエに連れて行かれた。そして弟のベッドルームから成人誌を発見したこともあった。理由は彼が男子だからであった。抑えきれない怒りで涙が溢れた。今思えば、あれは悲しみだった。誤解される悲しみである。
ある午後、弟はまたしてもシャツを着ないでキャッチボールに行ったが、私は許してもらえなかった。私は父に、女の子である事がシャツを着なければならない事を意味するのであれば、私は女の子にはなりたくないと告げた。父は母を呼びに行った。彼らは囁き合っていた。そして母は女の子であることが私の幸せなのだと説明した。そこに多くの有利な点があるのだと。私はそれは分かっていた。だがそれは問題ではなかった。問題は人々が私を女の子と呼ぶことだった。母にこのことを説明することは不可能だと悟ったことを、私は覚えている。
1985年当時には、今私が自認しているような『ジェンダークィア』という言葉はなかった。最終的に私の自己認識を助けてくれたこの言葉は、まだ編み出されていなかったのである。

【解答】

(A) 学校で上演するミュージカルで女の子が男の子の役を演じること。当時のアメリカのごく普通の町では、女性は女性らしく男性は男性らしくあるべきとの考えが支配的だったから。
(B) How had they known what they looked like
(C) 8歳当時の筆者は、普段女の子らしい身なりをすることに違和感を感じていたので、学校の演劇で男の子を演じている時は、自分らしく気楽でいられたということ。
(D-ア)(26) a (27) b (28) f (29) d (30) c (31) e
(D-イ)(32) a
(D-ウ)(33) c

【単語】

  • I am → 過去の回想を現在形で表現している。もちろんIは筆者を指しているが、筆者は既に大人である。現在完了形で書かれている部分は、本来過去完了だったもので、仮想された『現在』よりも以前の内容を表している。
  • tangle → もつれる、絡まる
  • freckle → しみ、そばかす
  • in time → やがて
  • forehead → 額
  • lie in wait → 待ち伏せする、(悪いことなどが)起きようとしている
  • hormone → ホルモン
  • bloom → 開花する
  • scar → 傷
  • lung → 肺
  • scalpel → 手術用のメス
  • the invisible scars → ここでは性的な被害による心の傷を指しているかもしれない。
  • battleground → 戦場
  • somebody has slipped → この文の解釈は難しい。前段落で女性としての準備を始めている体についての記述がある。この文のslipは、少女時代の筆者の体が女性になりつつあるのに、心は男性であることを示唆していると思われる。something has slippedでよいと思われるが、『体』が心からずれつつあることから、some”body”という語を選択したか。あるいはsomebodyがshe(少女時代の筆者)であり、社会全体の価値観からずれはじめているとも解釈できるし、キッチンで見るホームビデオがいつもの筆者の女の子らしい姿でなく、男の子役の姿であることを表しているとも言える。
  • put on → (劇やショーを)上演する
  • South Pacific → ミュージカルの『南太平洋』。映画化もされた有名作品。男は男らしく女は女らしくという当時の価値観がはっきりと現れたストーリー。
  • apply → (化粧品を)つける、塗る
  • lipstick → 口紅
  • perfect Os → 口を完璧な丸の形にするということ。
  • rearview mirror → バックミラー(バックミラーは和製英語)
  • flush → 紅潮する、赤くなる
  • load → (プレイヤーに記憶媒体を)入れる
  • pastel-colored clothing → パステルカラーの服、つまり『女の子らしい』服装ということ。
  • be supposed to~ → (義務)〜することになっている
  • self-portrait → 自画像
  • stick figure → 棒線画、棒のような人物
  • curl → 巻き毛、カールした髪
  • crew cut → クルーカット、短い男性用の髪型
  • spike → 尖ったもの、(折れ線グラフなどの)尖った部分
  • swirl → 渦
  • embarrassed → バツが悪い、恥ずかしい、照れて
  • somehow → どういうわけか
  • still → 静止した、動かない
  • peculiar → 奇妙な、普通でない
  • intimately → 密接に、心から、親密に
  • spot → 場所、ここでは自分の席
  • at the head(of the table)→ 上座、首座
  • auditorium → 講堂
  • palm tree → 椰子の木
  • My hair brushed back… → be動詞が省略され、画面に映っているものが羅列されている。
  • perch → (鳥が木に)止まる、止まらせる
  • angular → 角張った、骨張った
  • fine-boned → 華奢な(fine:細かい、細い)↔︎ big-boned 骨太の、がっしりした、太った
  • plain → 無地の
  • tuck → 押し込む、詰め込む
  • frill → フリル、ひだ飾り
  • fluff → ふわふわした毛
  • — and with it, somehow, so much else. → 解釈が難しい。ここでは、itをthe frill and fluff of my normal clothingと捉え、so much else (stripped away.)と読んだ。そしてso much elseの中身は次文の違和感だと解釈した。押し付けられた「女性らしさ」を取り去った所に、等身大の自分の姿が見えたということ。
  • ease → 楽であること、安らぎ
 

【読解・解答のポイント】

  • まずは全文をしっかりと和訳できることが大前提。「ざっくりと文意をつかめばよい」というような読み方は、東大受験では通用しない。テスト本番で分からない部分を想像で補うのは仕方ないにしても、基本的に全ての文を正確に(かつ速く)読む必要がある。
  • 2022年の第5問は、①浮遊感のある時制を楽しみながら正確にイベントの時系列を追うこと、②少女時代の筆者が性同一性の問題に悩んでいることをとらえる、③当時のアメリカ社会の(LGBTに対する)態度を感じ取ること、の3点がポイントになる
  • 2022年第5問全体の難易度としては★4(5段階中)とする。本文がふわふわして読みにくい(悪い文章という意味ではない)上に、ジェンダーを扱った文章であることに早い段階で気付かないと上手く読解できない。ただし文章が読みにくい分、設問は平易になっている印象。
  • 設問に取り組むことが本文読解の助けになるという良問。例えば、設問(A)(C)で、ジェンダーの問題を取り扱っていることがハッキリする。(D-ア)によって、筆者の性自認に伴う感情の変遷を辿ることができる。出題の意図をつかむとはこういうこと。東大英語の出題者は明確に、文章を斜め読みしたり、英語でお喋りする能力ではなく、『(知性をベースに)英文を正確に読むこと』を求めていることが、設問からはっきり伝わってくる。私立大学入試・英検等にもこうした知性的な問題を期待したい。

(A) 学校で上演するミュージカルで女の子が男の子の役を演じること。当時のアメリカのごく普通の町では、女性は女性らしく男性は男性らしくあるべきとの考えが支配的だったから。




(B) How had they known what they looked like


① クエスチョンマークがあるので、howがwhatで始める。
② 主語はtheyが2つ。一方が主節の主語で、もう一方がhowかwhatで導かれる従属節の主語となる。
③ 前後の文が過去完了であることから、この文も過去完了。この段落の後半の文が過去完了で書かれているのは、このショッキングなイベント(クラスメイトの絵と自分の絵を並べた時)が本文執筆時(あるいは後にそれを思い出す時点)から見て過去であり、筆者やクラスメイトが絵を描いているのがそれよりもさらに前であるから。この辺りでは地の文の視点が少女時代の筆者ではなく、後の筆者であることに注意。
④ 動詞は2つ。hadはknownかlookedにつくが、had lookedにしてしまうとknownがういてしまう。したがって主節の動詞がhad known、従属節の動詞がlookedになる。
⑤ look likeは確定。

① How had they known what they looked like
② What had they known how they looked like
の2択となる。

(C) 8歳当時の筆者は、普段女の子らしい身なりをすることに違和感を感じていたので、学校の演劇で男の子を演じている時は、自分らしく気楽でいられたということ。



① 筆者がジェンダークィアである(性自認が定まっていない)。
② 下線部(C)の直前の『But look. On the screen.』のスクリーンとは、学校で行われたミュージカルをホームビデオにとって、家族で見ている画面である。
③ 学校のミュージカルでは、男の子の役を演じた。
④ 前段落にその時の身なり・衣装が描かれている→『長い髪が見えない』『白いTシャツにブルージーンズ』『ヒラヒラ・フワフワがない』
⑤ 女性らしい身なりには違和感を感じていた。

【D ア(26)】 a) flush





【D ア(27)】 b) hate



【D ア(28)】 f) shock



【D ア(29)】 d) pleasure




【D ア(30)】 c) love





【D ア(31)】 e) rage




【D イ(32)】 a) ballet


① 兄:野球の観戦に連れて行ってもらう⇄私:私の方がファンなのに連れて行ってもらえない。
② 兄:ボーイスカウトでキャンプに行く⇄私:私は(イ)に連れていかれる。
③ 兄:寝室にアダルト雑誌を隠し持つことが許される⇄私:許されない。

【D ウ(33)】 c) The author played a male role in the musical in elementary school.



a) 筆者は自身の体が好きではなかった。
b) 筆者は家族や近所に男の子しかいなかったため、男の子と遊ばねばならなかった。
c) 筆者は小学校のミュージカルで男性の役を演じた。
d) 筆者は女の子であることに良いことは何もないと考えていた。
e) 筆者は小学校の時、女の子であることで幸せを感じていた。

選択肢b)について。あまりにも本文の内容とかけ離れている。筆者には双子の兄弟がいるし、近所の男の子とごっこ遊びもしている。
選択肢c)について。シンプルに正解。不明瞭な要素が全くない良い選択肢。maleを知らない受験生はいないはずだが、maleが大人の男性だけを指すと勘違いし、正解から除外してしまった生徒がいたかもしれない。
選択肢d)について。筆者は女の子として生きていった方が『有利である』ことは理解していた。それでもなお『女の子』でいたくなかったという内容なので、この選択肢は不適切。本文の以下の部分参照。my mother explained that I should be happy to be a girl — there were so many good things about it. I knew there were; that wasn’t the problem.『母は女の子であることが私の幸せなのだと説明した。そこに多くの有利な点があるのだと。私はそれは分かっていた。だがそれは問題ではなかった。』
選択肢e)について。筆者は小学校のミュージカルの時点(8歳)で、ジェンダークィアであることについて、それが無意識的であるにせよ、大いに悩んでいたのだから、絶対に選んではならない選択肢。
比較的簡単な問題だが、不正解だった解答で多いのがa)。a)とc)以外を選んだ生徒は英文そのものが読めていないということ。時間がかかってもよいので、本文を全て丁寧に和訳する(頭で曖昧に理解するのではなく文字にする)ことをおすすめする。しっかり取り組めば数時間かかるだろうが、問題を解く練習よりも、本文自体に向き合う姿勢を重視すること。それは文章を楽しむことでもある。
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