東大過去問 2021年 第4問(和訳)

/ 4月 13, 2021/ 第4問(和訳), 仮定法, 東大過去問, not only but also, 難易度★, 難易度★★, 並列の省略/ 0 comments

【問題】

以下の英文を読み、下線部(ア)、(イ)、(ウ)を和訳せよ。

We do not tell others everything we think. At least, this applies to most people in (perhaps) a majority of social situations. A scholar even concludes that “we lie — therefore we think.” Perhaps, one would also want to reverse this saying (“we think, therefore we sometimes lie”). In any case, there is a constant struggle between revealing and hiding, between disclosure and non-disclosure in communication. We are more or less skilled in suppressing the impulses to express all kinds of responses. (ア)If we were to make everything we think public by saying it aloud, it would sometimes be quite embarrassing, or face-threatening, not only for the speaker, but for both (or all) parties. Another researcher points out that narration in social contexts often involves circumstances that promote non-disclosure such as silent resistance and secret alliances. (イ)Accordingly, some things get said, others not.
One may argue that we need a dialogical theory of inner dialogue to account for the struggle between disclosure and non-disclosure. Surely, ecological psychologist Edward Reed suggests that “one could argue that (ウ)the primary function of language is for concealing thoughts, diverting others’ attention from knowing what one is thinking.” *Monological theories of communication, with their conception of external dialogue as a mechanical transfer of messages produced by the individual, do not seem to be capable of developing the point.
*注 monological theory 聞き手を前提としないmonologue(個人発話)に基づく理論
 

【和訳】

我々は自分の考えていることの全てを他人に伝えることはない。少なくともこれは、(おそらく)社会生活のほとんどの場において、ほとんどの人に当てはまることである。『我々は嘘をつく、故に我々は考える』と結論付ける学者さえいる。おそらく、この表現を逆にして、『我々は考える、故に我々は時に嘘をつく』と言いたい人もいるだろうが。いずれにせよ、コミュニケーションにおいては見せることと隠すことの間、開示と秘匿の間には、絶え間ない葛藤がある。我々は多かれ少なかれ、何にでも応答したいと思う衝動を抑制することに長けているのである。(ア)仮に考えていること全てを声に出して言うことで公にするならば、話者だけでなく双方(あるいは全員)が時として、かなり気まずい思いをしたり、面子を潰されるような事態になるだろう。別のある学者の指摘するところによると、社会的文脈における語りは、無言の抵抗や秘密の協力関係といった、非公開性を助長するような事情としばしば関係している。(イ)したがって、語られる事がらもあれば、語られない事がらもある。
開示と秘匿の葛藤を説明するには、内面での対話に関する対話理論が必要であるとの主張もあるだろう。確かに、生態心理学者のエドワード=リードは『(ウ)言語の主要な機能は、自分の考えを隠す、つまり他人の注意をそらして自分の考えを知られないようにするためにある、と言うこともできる』と述べている。個人発話に基づくコミュニケーション論は、対外的な対話を、個人によって生み出されたメッセージを自動的に転送することだと捉えるものであるが、このポイントを発展させることができそうにはない。
 

【単語・熟語】

  • in a social situations → 社会生活の場面で
  • scholar → 学者
  • reverse → 逆にする
  • face-threatening → 面子を潰すような
  • If S were to do, S would ~ → いわゆる仮定法未来。『仮に〜ならば』『万が一〜ならば』と、強い仮想を表す。
  • aloud → 声に出して
  • embarrassing → 気まずい、恥ずかしい、不愉快な、困惑させるような
  • face-threatening → 面子を潰されるような
  • quite → 比較的、かなり、非常に
  • accordingly → したがって
  • dialogical → 対話形式の
  • inner dialogue → 内面の対話、自分との対話
  • surely → 確かに
  • primary → 最も重要な
  • conceal → 隠す
  • divert → (注意・関心を)そらす
  • ecological psychology → 生態心理学
  • conception → 考え、理解、着想
  • external → 外部の、対外的な
 

【読解・解答のポイント】

難易度★★If we were to make everything we think public by saying it aloud, it would sometimes be quite embarrassing, or face-threatening, not only for the speaker, but for both (or all) parties.

仮に考えていること全てを声に出して言うことで公にするならば、話者だけでなく双方(あるいは全員)が時として、かなり気まずい思いをしたり、面子を潰されるような事態になるだろう。







難易度★Accordingly, some things get said, others not.

したがって、語られる事がらもあれば、語られない事がらもある。





難易度★★the primary function of language is for concealing thoughts, diverting others’ attention from knowing what one is thinking.

言語の主要な機能は、自分の考えを隠す、つまり他人の注意をそらして自分の考えを知られないようにするためにある。



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