東大過去問 1987年 第1問(要約)
- コメント欄に生徒の答案と添削があります。
【問題】
次の文を読み、その要旨を80字から100字までの日本文で書け。ただし、句読点も字数に数える。
The best thing about a small town is the people who live in it. I say this boldly, knowing how often that element is seized upon as a subject for ridicule — their dullness, narrow lives and interests. The point is that the charge is simply not true. There are such people and such conditions in small towns, just as there are in large cities, for the human race is plentifully supplied with all kinds; they average about the same everywhere. The inhabitants of the small town are no worse and no better than people everywhere, but in the small town you know them, as friends, neighbors, acquaintances, over a long span of years, lifetimes often, and they know you for what you are — a sobering but an inspiring thought. In the small town you do not need to pretend; you can be yourself. This may annoy some, who will prefer the impersonality of the big city, but to a normal person there is something heartening in being an integral part of a community. Be sure of this: if you find the small town dull, the lack is in you. You no doubt bore the people.
【単語】
【和訳】
小さな町の最もよい点は、そこに住む人々だ。私ははっきりとそう主張する。退屈で、生活と興味の範囲が狭いとして、小さな町の住人がどれほど頻繁にあざけりの対象になっているかは、私も知っているけれど。大切なのは、そのような非難が全くの間違いだという事である。そのような人や状況は小さな町にも存在するけれど、それは大きな町と全く同じ事である。というのも、人類にはあらゆる性質の人が豊富に取り揃えられていて、その比率はどこでも大差ないからである。小さな町の住人は他の場所のどこと比べても、良くも悪くもない。しかし小さな町に住めば、あなたは長年に渡り、時には一生涯、友人・隣人・知人として、町の人々と付き合っていく。そして彼らもあなたのありのままの姿を知っている。これは身の引き締まるような事だが、同時にワクワクするような事ではないか。小さな町では自分を偽る必要がない。自分らしくいられる。これは大都市の非人間性を好む人には苛立たしい事かもしれない。しかし普通の人は、地域社会の不可欠なメンバーとなる事で、何らかの形で心をかきたてられる。もしも小さな町が退屈に感じたのなら、その空虚は自分のせいなのだ。その事を忘れないで欲しい。間違いなくあなた自身が他人を退屈させているはずだ。
【要約】
小さな町では住人同士が長い知り合いなので自分を偽る必要がなく、地域社会の不可欠なメンバーとなる事が満足につながる。都会の非人間的生活を好み、田舎を退屈だと思う人は、その人自身が退屈な人間だ。(99字)
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小さな町も大都市も住んでいる人に大差はない。田舎の良さは、住民同士互いの素性を知っていて、自分を偽る必要がなく、コミュニティにおける役割を自覚できることだ。それを退屈に思う人は本人が退屈なのだ。(97字)
Hiroakiさん、コメントありがとうございます。必要な要素が全て収められていて、ほぼ完璧な解答だと思います。満点と考えて良いでしょう。
あえて言うならば『小さな町も大都市も住んでいる人に大差はない。』という要素まで入れたことによって(そのこと自体はよいのですが)、最後の文が窮屈になり、『それを退屈に』の『それ』が指すものが適切かどうか怪しくなっています。本文において、『住民同士互いの素性を知っていて、自分を偽る必要がなく、コミュニティにおける役割を自覚できること』を退屈だと思う人がいるというような記述はないからです。『小さな町自体や生活・興味の範囲が狭いこと』を退屈だと思っているのではないでしょうか。
また『本人が退屈なのだ』の所は、このままだと『本人が退屈している』と取れなくもないので、『退屈な人間である』などというように、本人がつまらない人間であることをはっきりと書いた方が良いでしょう。
とはいえ、以上はあえて指摘すれば、と言う程度の事で、合格には十分な解答です。実際満点が付くと思います。
2点のご指摘の内容、よく理解できました。今後に活かします。ご丁寧にありがとうございました。